勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「な、可愛いよな?」




親ばか全開の九条さんに、ぶんぶんと大きくうなづく。




「写真を見てるだけで、癒されますっ」




「これは、フリスビーで遊んでるとこ」




コタロウくんのあまりの可愛さに、



コタロウくんと同列で可愛いなんて言ってもらえて、



むしろ光栄かも!




「ちょっと待って。



たしか、ほかにも子犬の頃の写真もあったはず」




そう言って、隣に移動してきた九条さん。




「ほら、これ、すげえ小さいころのコタロウ」




九条さんの顔がすごく近くて、



肩は触れそうなほどの距離にあって、



正直、ドキドキしちゃって



スマホを見るどころではないのだけど……!




ううっ、心臓に悪い……っ。




「あ、これこれ!」




その瞬間、



スマホから顔をあげた九条さんの肩と、



私の肩がトンっとぶつかった。





わわっ!





びっくりしてのけ反ると、



勢いあまって、



そのまま仰向けにひっくり返った。



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