勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「それより、さっきの話だけどさ、


彩梅の将来の夢って、つまり『お嫁さん』ってこと?」




「あれ? そう、……なりますか?」




なんだか、幼稚園生の夢みたいで恥ずかしくなってきた。




「珍しいよな。見合いで結婚するって決めてるなんて」




きっと、また笑われる……と覚悟していると



じっと九条さんに見据えられた。




「家や親が選んだ相手と結婚するなんて、嫌じゃないの?」




「それが西園寺家のためになるのなら」




迷わずに答えると、



九条さんはなにも答えることなく立ち上がった。




「ちょっと歩こうか」




スカイツリーを眺めながら



九条さんの隣を着物で歩いていると、



なんだか夢のなかのできごとみたい。



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