勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「いくら反対したところで、



あのふたりが簡単に折れるとは思えない。



形だけでも婚約ということにして、あの二人を納得させないと



勝手に入籍でもされたら、それこそ取り返しのつかないことになる」




勝手に入籍⁈




そ、そんなことできるの⁈




本人の承諾もなく? 




まだ高校生なのに?




「とりあえずは会長たちの熱が冷めるまで、



婚約ということで、この話をつなごう。



もちろん、形だけ、あくまで形だけだ」




「ちょっと、待って、お父さんっ!」





こんなところで婿養子の本領を発揮しないでほしいっ!





すると、お父さんが私を無視して九条さんに体を向ける。





「意気投合している会長たちに何を伝えたところで、



納得してもらえるとは到底思えない。



しばらく様子をみて、



会長たちの熱が冷めた頃合いを見計らって、



婚約破棄ということで波風立てずにいきたいと思う」




「うちの祖父も言い出したら聞かないところがあるので、



下手に逆らったら、かえって面倒なことになるのは目に見えています」





九条さんの言葉に、お父さんが大きくうなずいているけれど!





ちょっと待って! 私の意思とか!





< 49 / 250 >

この作品をシェア

pagetop