勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「とにかく会長たちが



すぐにでも結納だ、結婚だ、と暴走しないように、



彩梅が高校に通っている間は



『婚約を前提としたおつきあいをする』ということで、



会長たちに納得してもらう。 



とりあえずその旨、今から話してくる」




お父さんがそそくさと、おじいちゃん達のもとへ向かうと、



お母さんがお茶を片付けながらくすくすと笑う。




「そうしていると、ふたりともすごくお似合いなんだけどね?」





「お母さんまでそんなこと言わないで……!」





娘が結婚させられちゃいそうだっていうのに、



お母さん、のんきすぎるっ。




「それより、彩梅、九条さんを玄関までお送りしたら? 



今日はふたりとも、これ以上ここにいないほうがいいかも。



おじいちゃん達、これからお酒が入って、



やっぱり今すぐにでも婚約だ、結納だって言いだしたら大変じゃない?」





お母さんのその一言に、九条さんとふたりでさっと立ち上がり、



早歩きで玄関に向かった。




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