勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「とにかくこの縁談は絶対に中止にはしないからな!!」




うめくように吐き捨てると、



お父さんはバンと扉を閉めて



ダイニングルームから出て行ってしまった。





お父さんが書斎にこもったのを確認すると、




静まり返ったダイニングにぴょこっと顔をだす。





「お父さん、大丈夫かな?」




「困ったわね、ほんとうに」




そう言って微笑むお母さんは、



全然困っているようには見えなくて。




もしかすると……




「お母さん、お姉ちゃんがアメリカに行くこと、知ってたの?」




「さあ、どうかしら」




肩をすくめて笑っているお母さんはきっと、確信犯だ。




「でも、どうして急にお見合いなんて?」




「今回のことは、



おじいちゃん同士が勝手に決めたことなの。



だからお父さんも可哀想なんだけどね。



ほら、お父さん、婿養子だし。



それに、怒ってるっていうよりはショックなのよ、



真桜が勝手にアメリカに行っちゃって」





くすくすと笑うお母さんに、



ちょっとだけ肩のちからが抜けた。







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