勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「あのさ、ああいうのに返事しちゃだめだからな?」




「返事、してないでふよ?」




「声かけられて足を止めちゃダメなんだよ。



悪いこと企んでる奴だっているんだから。



話しかけられても無視しなきゃダメだし、



信じちゃダメだし、写真なんてもってのほか」




「でも、写真、ちょっと撮ってもらいたかったです……」




九条さんと、カップルスナップ……




記念に一枚、欲しかったな……




「知らない奴に写真なんて撮らせたら絶対ダメだろ。



そもそもお前のガッコ、そういうの禁止されてるよな」




よくご存知で。




SNSに写真を載せることすら禁止されてるのに、



雑誌にカップルスナップなんて載ったら大変なことになっちゃう。





「もっと気を付けろよ」




声に不機嫌さをにじませる九条さん。




そっか、これは保護者目線だったんだ……




「でも、九条さんの写真、欲しかったな……」




小さく呟くと、



ものすっごく怖い顔で九条さんに睨まれた。




「いいか、お前は俺の許嫁なんだから、



ほかの男に近づくのも話しかけられてるのも禁止! 



わかったな!」



「は、はいっ」



思わず返事をしちゃったけれど、話しかけられるのも禁止⁈




さすがに、ちょっと心配しすぎでは?




私、そんなに弱くないのにな。




……そうだ!




ピタリと足を止めて、九条さんと向き合った。




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