勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
自宅まで送ってもらって車を降りると、
九条さんにぺこりと頭をさげる。
「あの、ごちそうさまでした。
洋服も、ありがとうございました。ずっと大切にします」
そのとき、九条さんが手にしたスマホの画面が目に入る。
「……あ、コタロウくんですか?」
ラブラドールレトリバーのコタロウくんがボールをくわえている姿が、
ホーム画になっている。
「そうそう、昨日撮った写真。可愛いだろ、
こいつ、めちゃくちゃ賢くってさ」
か、可愛いすぎるっ!
「私、犬、飼ったことがないから、本当にうらやましいです」
「それなら、つぎに会うときは、コタロウを見に来るか?
じじい達に勝手に予定決められるくらいなら、
自分たちで行きたいところを決めたほうがいいだろ」
「会いたいです! コタロウくんに!」
「じゃ、決まりな」
うわっ!
本物のコタロウくんに会えるなんて!
「うちはお父さんが犬嫌いで、
ずっと犬を飼わせてもらえなかったから、すごく嬉しい!」
「じゃ、コタロウの散歩にでも行こう」
お散歩!
ずっと憧れてた愛犬のお散歩!
すると、ぽんぽんと頭をなでられて、ボッと顔が熱くなる。
「彩梅、顔、赤くなってるぞ。特訓するんだろ?」
そう言いながらも、九条さんの手は、
私の頭をまだポンポンとたたいていて。
子供扱いされてるだけだって分かってはいるけど、
心臓が破れそうです……
「くくっ。慣れるまでしばらく時間がかかりそうだな」
ううっ、ドキドキしすぎて倒れちゃいそうだよ……
「じゃ、彩梅、またな」
柔らかく笑って帰っていった九条さんを、
見えなくなるまで見送った。
九条さんにぺこりと頭をさげる。
「あの、ごちそうさまでした。
洋服も、ありがとうございました。ずっと大切にします」
そのとき、九条さんが手にしたスマホの画面が目に入る。
「……あ、コタロウくんですか?」
ラブラドールレトリバーのコタロウくんがボールをくわえている姿が、
ホーム画になっている。
「そうそう、昨日撮った写真。可愛いだろ、
こいつ、めちゃくちゃ賢くってさ」
か、可愛いすぎるっ!
「私、犬、飼ったことがないから、本当にうらやましいです」
「それなら、つぎに会うときは、コタロウを見に来るか?
じじい達に勝手に予定決められるくらいなら、
自分たちで行きたいところを決めたほうがいいだろ」
「会いたいです! コタロウくんに!」
「じゃ、決まりな」
うわっ!
本物のコタロウくんに会えるなんて!
「うちはお父さんが犬嫌いで、
ずっと犬を飼わせてもらえなかったから、すごく嬉しい!」
「じゃ、コタロウの散歩にでも行こう」
お散歩!
ずっと憧れてた愛犬のお散歩!
すると、ぽんぽんと頭をなでられて、ボッと顔が熱くなる。
「彩梅、顔、赤くなってるぞ。特訓するんだろ?」
そう言いながらも、九条さんの手は、
私の頭をまだポンポンとたたいていて。
子供扱いされてるだけだって分かってはいるけど、
心臓が破れそうです……
「くくっ。慣れるまでしばらく時間がかかりそうだな」
ううっ、ドキドキしすぎて倒れちゃいそうだよ……
「じゃ、彩梅、またな」
柔らかく笑って帰っていった九条さんを、
見えなくなるまで見送った。