勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「彩梅、その反応はマジで……やばすぎるっ!」




「だって、九条さんがいきなり倒れてくるからっ!」




「それにしたって、ひどすぎるだろ! 



あのさ、好きな男と出かけたときには、もっと色っぽい反応にしとけよ」




「だって、び、びっくりしすぎて!」




「だからって、それはないっ」




目じりに涙を浮かべる九条さんと視線がぶつかり、



またふたりで笑い転げると、突然、沈黙が訪れた。




助手席に両手をついて、私を見下ろす九条さん。




うう、お願いだから、心臓の音、静かにして!




ドキドキしてるのが、九条さんにばれちゃうよ……。




「彩梅、目、開けて」




ぶんぶんと頭をふると、



九条さんの手が私の頬っぺたに触れた。




「……っ!」
 



顔、燃えちゃうよっ!




「こっち向いて、彩梅」




「……む、無理です」




ドキドキしすぎて、九条さんの顔なんて、とても見れません!




心臓、本当に止まっちゃう。




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