勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「私は、彼氏とか、ほしいと思わなくて。
……それじゃ、だめですか?」
じっと九条さんを見つめると、ふいっと顔をそらされた。
「ダメだろ、それじゃ」
「でも、私は九条さんと一緒にいるときが、一番楽しい」
精一杯の本音です。
「彩梅は俺のことしか知らないから、
そう思うだけだよ。これから彩梅は、
もっとたくさんの人と出会っていくんだから」
もっとたくさんの人に出会ったら、
九条さんにドキドキするこの気持ちは、どこにいくんだろう?
この気持ちが消えてしまうくらいなら、
ほかのひととの出会いなんていらないのにな。
……でも、こんなことを口にしたら、
きっと九条さんを困らせる。
「私は今のままで、いいです」
「そんなこと言ってたら、
いつまでたっても彼氏なんて出来ないぞ?
俺たちはじいさんの余興につきあわされて
一緒にいるだけなんだから」
その一言に、どーんと奈落の底に突き落とされた。
でも、これが現実。
これが、九条さんの本音。
『九条さんはお祖父さんに言われて、
私と一緒にいてくれるだけ』
朝昼晩、毎日唱えて心に留めておかないと、
きっと九条さんを困らせる。
でも、婚約破棄が決まったら、
こうして九条さんと会うこともなくなるんだ……
しゅんと肩を落とすと、
九条さんの柔らかな声が頭上で響く。
「……少し、ドライブして帰るか?」
……それじゃ、だめですか?」
じっと九条さんを見つめると、ふいっと顔をそらされた。
「ダメだろ、それじゃ」
「でも、私は九条さんと一緒にいるときが、一番楽しい」
精一杯の本音です。
「彩梅は俺のことしか知らないから、
そう思うだけだよ。これから彩梅は、
もっとたくさんの人と出会っていくんだから」
もっとたくさんの人に出会ったら、
九条さんにドキドキするこの気持ちは、どこにいくんだろう?
この気持ちが消えてしまうくらいなら、
ほかのひととの出会いなんていらないのにな。
……でも、こんなことを口にしたら、
きっと九条さんを困らせる。
「私は今のままで、いいです」
「そんなこと言ってたら、
いつまでたっても彼氏なんて出来ないぞ?
俺たちはじいさんの余興につきあわされて
一緒にいるだけなんだから」
その一言に、どーんと奈落の底に突き落とされた。
でも、これが現実。
これが、九条さんの本音。
『九条さんはお祖父さんに言われて、
私と一緒にいてくれるだけ』
朝昼晩、毎日唱えて心に留めておかないと、
きっと九条さんを困らせる。
でも、婚約破棄が決まったら、
こうして九条さんと会うこともなくなるんだ……
しゅんと肩を落とすと、
九条さんの柔らかな声が頭上で響く。
「……少し、ドライブして帰るか?」