勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
九条さんの両腕に捕獲されて、全身硬直。




九条さんの腕のなか、



九条さんのシャツや肩が触れそうなくらいに



すぐ目の前に迫って、九条さんの香りに包まれて、



息もできませんっ!





このままだと、窒息死しちゃうよっ。





「俺で慣れるんだろ? すでに顔、真っ赤だけど」




「……意地悪っ!」




「彩梅、ホントに面白い。つうか、可愛い」




コタロウくん的な可愛さだって、知ってるし!




むっと九条さんを睨みつけると、



九条さんに頭をぽんぽんと叩かれた。




私、子どもじゃないのに。




もう少し、ドキドキしてくれたっていいのに。




もっと私のこと、意識してくれたっていいのに。




それなら……




「九条さん!」




えいっと背伸びして、九条さんの頬っぺたを両手で挟んだ。




「は?……な、なにしてんだよ⁈」




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