勝手に決められた許婚なのに、なぜか溺愛されています。
「九条さんも、私のこと、ちゃんと見てください!」




「はなせ、彩梅」




「九条さん、私、こどもじゃないですよ?」




「分かったから、はなせ!」




「はなしませんっ! 



ちゃんと私のこと見てください!」




むぎゅっと九条さんの頬っぺたを両手ではさんで、



できるかぎり顔を近づける。




ちょ、ちょっと恥ずかしいけど、



九条さんを困らせたくて、ぐぐっと顔を近づける。




心臓、爆発しそうだけど!




するとわずかに動揺していた九条さんの瞳が、



鋭くひかる。



んん?



こ、これは、ちょっと嫌な予感?




「ふーん、それなら子供じゃないところ、見せてみろよ」




「へ?」




子どもじゃないところって、なんだろう?




「子供じゃないんだろ? それなら、続きはどうすんの?」




同時に、九条さんに片手で腰を引き寄せられた。




うわわわわっ!




も、もしや、九条さん、怒ってる?




「つ、つづき……ですか?」




「子供じゃないなら、わかるよな?」




やっぱり、九、九条さん、お、怒ってる‼




ものすごく、怒ってる‼




ぐぐっと顔を近づけてきた九条さんに。




ひゃああっ……‼




顔、ぶつかっちゃうっ‼





「ご、ごめんなさいっ! 調子にのりました~~~!」




「彩梅のくせに、百万年、早いんだよ!」




あきれ顔の九条さんに、ぺちんとおでこを叩かれた。




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