時には風になって、花になって。
そんな縁だってサヤと同い年なんだから誰かいい人を見つければいいのに。
そう言っても「オレの奥さんは水牛さ」と本気で笑っているような男で。
縁は数日置きにこうしてサヤの元を訪れてくれる、今では友のような存在だった。
「オレ、紅覇さんに会ったよ」
ボーッと川の流れを見つめていたサヤの視線がふっと隣へ移った。
元気だった?なにをしてた?
どこに、いた…?
聞きたいことは脳内を埋めるけれど、声にならない自分に今は助けられた。
「まだ決着がどうのこうのって言って、何かしようとしてるっぽい」
決着…なんの…?
もしかして羅生門を殺すつもりじゃ…。
そうは思ったが、かつて1人で羅生門へと会いに行ったときにそれだけはやめて欲しいと頼んでおいた。
(…だからそれはないはず)
でも元気そうなら良かった。
そんな心情とは裏腹に、サヤはぐっと唇を噛む。
「…寂しそうだったよ、あの人」