時には風になって、花になって。
その鬼は長い三つ編みをぶら下げる金色の髪で。
よくサヤと紅覇の前に現れては、ろくなことをしない奴。
確か名前は………
金鬼、だっけ。
(……なにゆえあなたがここに…)
まさかサヤをまた狼の姿に戻しに来たの…?
サヤは今はもう人の道を選んだ。
そう羅生門に言ったから、手下のあなたは用は無いはずなのに…。
「相変わらずの阿保面じゃねェか」
(なにしに、来たの…)
「…まぁちょっと近くまで寄ったからよ。ただの暇潰しだ」
何故か会話が続いている。
鬼だとやっぱり人間と違って感覚機能が優れているから流暢に伝わるのだろうか。
「別に俺はもうお前を喰おうとも思ってねェよ」
どうやら羅生門の命令ではないらしい。
あれから羅生門はどうなったかも私は知らなかった。
私は今まで通り人間として変わらず生きているし、だからこそ妖怪と関わることも昔に比べて減っていた。