時には風になって、花になって。
人の子、鬼の子
まったく、どうすればいいかわからない。
己の腕の中でハァハァと呼吸を繰り返す小娘の身体は熱くなるばかりだった。
先程は寒がっていたから、こうして暖めたはいいものの。
今度は汗をかいている。
「辛いのか。なにか欲しいものはあるか」
(み、ず…)
すぐに紅覇は川へ下り、竹筒に水を汲む。
「サヤ、水だ」
バシャッ───!
紅覇は少女へと乱暴に頭からかぶせた。
「……違ったか」
コンコンと、今度は咳をし出す。
普段身を隠している山奥の洞窟はとても気温が低い。
だからこそ珍しく人間の生活する村へ下り、少々気候の暖かい場所へと来てみたはいいが。
時は既に夕刻。
「…苦しいのか」
治まる気配がない。
身体はどんどん熱くなるばかりだった。
人間の体はやはり脆い。
このまま放っておくと死んでしまうのではないか。
(サヤ、…へいき)
いつもこうだったから───と、少女は言う。
親が居ない孤児だったのだ。
それまで同じように苦しんでも、1人でどうにか乗りきっていたというのか。