時には風になって、花になって。




「今朝食べたばかりだろう」



感情の起伏が激しくなった。
簡単には言うことを聞こうとはしない。

少し前はホイホイと大人しくついて来たというのに。


この我が儘娘が。



(サヤ、あれ食べたい!)



それは行列の出来ている甘味処だった。

サヤより少し年上の女達が黄色い声を上げて屯っている。


人間の女は紅覇は昔から嫌いであった。



「…サヤ、お前怪我をしているのか」



唐突な問いかけにサヤはすっとんきょうな反応。


数日前からサヤから鮮血の匂いが鼻を掠めるようになった。

特に怪我はしていないはずなのだが、それでも1日1日とそれは濃くなってゆく。



「血が出ているのか」



少女は何かに気付いたのか。

ボッ!!っと顔を真っ赤にさせ、ズケズケと紅覇の元へ駆けつけてくる。

キッと睨んだかと思えば。


ピーーーーーッッ!!!!



「……なんの真似だ」


(くれはの馬鹿っ!!!)



そのまま甘味処すら無視をして、今度は反対方向へ向かって行った。








< 61 / 180 >

この作品をシェア

pagetop