時には風になって、花になって。
「今朝食べたばかりだろう」
感情の起伏が激しくなった。
簡単には言うことを聞こうとはしない。
少し前はホイホイと大人しくついて来たというのに。
この我が儘娘が。
(サヤ、あれ食べたい!)
それは行列の出来ている甘味処だった。
サヤより少し年上の女達が黄色い声を上げて屯っている。
人間の女は紅覇は昔から嫌いであった。
「…サヤ、お前怪我をしているのか」
唐突な問いかけにサヤはすっとんきょうな反応。
数日前からサヤから鮮血の匂いが鼻を掠めるようになった。
特に怪我はしていないはずなのだが、それでも1日1日とそれは濃くなってゆく。
「血が出ているのか」
少女は何かに気付いたのか。
ボッ!!っと顔を真っ赤にさせ、ズケズケと紅覇の元へ駆けつけてくる。
キッと睨んだかと思えば。
ピーーーーーッッ!!!!
「……なんの真似だ」
(くれはの馬鹿っ!!!)
そのまま甘味処すら無視をして、今度は反対方向へ向かって行った。
*