時には風になって、花になって。
「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ーーー…!!!」
声が……出る。
力がみなぎってくる。
(え…サヤはどうなっているの…?)
そう思うのに、己は全ての解放感に次を求めていた。
「ははははっ!まさかお前みたいなガキがかつて一国を滅ぼした化け狼の末裔だったとはなァ!」
「凄まじい妖力だ。…羅生門様と互角だったというのは本当だったのか」
水面に映し出された己の姿にサヤは信じられなかった。
自分の姿は狼そのもの。
紅覇が鬼へと進化するように、それでもサヤの方が野性味が強かった。
全身を覆う毛皮、長く伸びた爪。
そして青色へと変わる瞳に、獣の耳が生えている。
「貴様…!サヤに何をした…!!」
「驚け紅覇。これが小娘の本来の姿なんだよ。こいつは人間として生きる為に無理矢理妖力を封印された化け物だ…!!」
「───…何だと…?」
苦しい。
助けて、……紅覇。
「グルルルルルルーーーッ…!!!」
そう思っても誰が敵で味方なのか区別が出来ない。
気付けば理性も無く、暴れる妖怪へと変化している自分。
「こいつは驚いたな。まだ子供だとしてもここまでの力があるとは」