時には風になって、花になって。
サヤは妖怪なの…?
サヤは人間の子ではないの……?
「本性現したな化け狼がァ!!!」
ダマレ、キサマナドコロス。
どんどん獣に支配されていく。
「ぐはぁっ…!!なにッ…!!」
金鬼を吹き飛ばし、妖怪の狼は高く吠える。
「ウ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”オ”ーーーー!!」
その風の中に紅覇は迷わず入ってきた。
ヤメロ、クルナ。
キタラオマエモコロシテシマウ───…
「サヤ、少々我慢しろ」
「ッ…グァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ーーー…!!」
身体が硬直する。
見えない鎖は何重にも重なって、暴れる狼の動きを封じ込めた。
それでも身体は勝手に動いてしまう。
その鎖をブチブチと破って、そしてバチンッッと大きな亀裂を生んだ。
「くっ…!」
狼は紅覇の腕を噛み千切る。
血が飛び、そして千切られた左腕が海の中へと沈んだ。
ゴメンナサイ───…
ゴメンナサイ、ドウシテコンナコト…。
「ははははっ!終わりだなァ紅覇!!テメェが世話したガキに殺されるなんて、お前らしい最後じゃねぇの!!」