時には風になって、花になって。




いつかはサヤも紅覇より先に死んでしまう。

幾度かそんなものは考えていた。

それでもこうして過ごす今は、何よりも楽しかったから。


もしかするとずっと一緒に居れるんじゃないかって、そんな感覚に陥りそうになっていた。



(くれはは、…サヤが死んだら悲しい…?)



きっと聞こえていない。
見えてもいない。

顔を膝に埋めているからこそ、言えた。



(ちゃんとお墓参りに来てくれる…?)



サヤはお供え物はお饅頭がいいなぁ。
でもお魚でもいいよ。


あぁ、やっぱり。

紅覇が来てくれるだけで嬉しいなぁ。



(死んだら…人はどこへ行くの…?)



天国?それとも地獄?

それともどちらでもない場所?

自分が生きていた頃の記憶も思い出も、全部忘れちゃうのかな。


でも生き残る方が辛いのかもしれない。



「サヤ。苦しい」



気付けばサヤは離れないように抱きついていた。


紅覇を置いて行ってしまう。

紅覇は本当は優しいのに、誤解ばかりされてしまうから。

サヤが居なくなったら1人ぼっちになっちゃう。



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