BATEL
第9章 秘密の部屋
4人はキール村から出てクロエの家に向かった。煙突には黙々と白い煙をあげ、庭には大きなテーブルの上に赤くて大きな風呂敷に木の皿、木のフォークやスプーンが綺麗に並べてあった。
クロエ
「ただいまー。」
ママ
「おかえりなさい。あら、みんな手伝ってくれたのね!ありがとう!」
クロエ
「ママ?さすがにこれは一人で持てないよ。」
ママ
「ごめんね!でも、ほら!なんとかなった!」
レイはメルとゾーイに小声で
レイ
「やっぱクロエのママだな...」
メルとゾーイは首を縦に何回も振った。
ママ
「みんなも手伝ってくれてありがとね!今晩どお?みんなでお祝いしない?」
メル
「いいんですか〜?」
ママ
「夕方においで?待ってるから!」
クロエはママの料理を手伝った。
ママ
「今日は久しぶりにレビィが帰ってくるから盛大にしなくちゃね!」
クロエ
「ちゃんと騎士らしくなってるかな」
ママ
「きっとなってるわよ。」
レビィは5年前に国の為に騎士となる事を夢を抱きメルーン王国の国王陛下バミリオ王に仕える事を忠誠に誓った。
毎年、レビィではなくクロエの誕生日にだけこのキール村に帰ってくるようになった。
料理の準備も一段落しあとはテラスに準備するだけで休んだ。夕方までまだまだ時間がある。
ママ
「クロエ?いいもの見せてあげる。ちょっとついてきて?」
クロエ
「ん?」
ママがローブを羽織った。
ママ
「クロエ?あなたもローブを羽織りなさい。」
言われるがままローブを羽織った。
家から出て村の反対方向まで歩いた。
広いタナラ平原には芝生が風でなびいていた。
ママ
「気持ちいね!」
クロエ
「見せたかったものってここ?」
ママ
「まさか!違うわよ!」
ママはタナラ平原に続く道を逸れタナラの森に向かった。
クロエ
「ママ!森は危ないよ?昔からママ言ってたでしょ?近づいちゃダメって!」
ママ
「フードを被りなさい。」
ママはローブに付いているフードを頭に被りクロエも従いフードを被った。
初めて入ったタナラの森。
薄暗く肌寒い。上を見ると木の隙間から光が溢れその光がどんどんなくなっていく。奇妙で聞いたことのない鳥のさえずりが怖くてクロエはママの裾を掴みながら後を追いかけた。
キール村へ続く小川を目印に森の奥深く進み大きな礎に辿り着いた。
クロエ
「ママ?この石なあに?」
ママ
「少し離れてなさい。」
ママは礎を前に両手を地面につけ呪文を唱えた。
(一族の隠された部屋を。ここに導け)
礎は物凄い音と共に動き地下に繋がる階段を表した。
ママ
「ここに一族に伝わる隠し部屋を作っておいたの。」
クロエは色々聞きたいことがあったけど部屋についてからにしようと思った。
かなり広い階段だった。2人は階段を下ると壁にろうそくがと灯った。それと同時に出口は塞がれ礎が動く音が聞こえた。
クロエ
「ママ!出口が!」
ママ
「心配ないわよ。」
そう言ってどんどん下った。
階段には赤い旗にどこかの一族の紋章が描かれてあった。それが何枚も何枚も飾ってあった。
少し埃かぶった大きなドアを開いた。
ギィ...
不吉な音で空いた部屋は牢獄のような暗さだった。部屋のろうそくは一斉に灯された。
大きなリビングには本棚、中央に丸い机その上に枯れた薔薇が飾ってあった。
そして錬金術を使う机があり、少し古い椅子が2つ。その横の棚には錬金材料、部屋中壁にはボロボロになった地図に階段にあった大きな旗。
紋章は蜘蛛のマークが書かれている。
クロエ
「ママ...ここってなあに?」
ママ
「もう一つドアがあるでしょう?開いてみなさい。」
クロエは恐る恐るドアを開いた。
リビングと同じくらいの部屋だった。
マネキンが5体あり、赤色のドレス黒色のドレスが飾ってあり真っ黒の衣装が3体。どれも奇抜で見たことのない衣装ばかりだった。大きなドレッサーにクローゼットが3つ。
壁には短剣のダガーや杖が何本も飾ってあった。
ママ
「ここは今日からあなたのものよ。私からの誕生日プレゼントよ。」
クロエ
「ママ.....?」
ママ
「分かってるわよ。聞きたいことがたくさんあるでしょう?なんでも答えるわよ。」
そう言ってママは古くなった椅子に腰を下ろした。
クロエ
「ここって一体なんなの?」
ママ
「ここは私の隠し部屋。誰にも知られることのないよう皆が近づかない森の中に隠したの。」
クロエ
「......え?!」
クロエの頭の中は何がなんだか分からなかった。
ママ
「驚くのは無理もないわよね。いきなりこんなこと言われてもってなるわよ。ここに来たのは200年ぶりかしら。」
クロエ
「200?!」
ママ
「クロエも知ってる通り私はダンピールという種族で不老不死なのよ。私のことはこの地を統べる国王、王妃のみ知ることで口外されないようにされたの。」
クロエ
「でも国王はママのこと記憶がなかったって」
ママ
「それは嘘よ。生きていく為に嘘は付き物なのよ。でもクロエには嘘はついたことないのよ?」
ママは笑いながら言った。
いつもの笑顔だ。でもクロエを安心させる為の笑顔だとクロエ本人も感づいた。
クロエ
「200年前何があったの?」
ママ
「200年前のミラゼゴルの戦いって誰でも知ってるわよね。」
クロエ
「うん。本で読んだことある。」
ママ
「人間族と悪魔族の戦いで悪魔族は一掃され人間族の勝利となったお話ね。私はあの戦争の生き残りってことになるわね。他にも生き残りはいるらしいけどまた同じ過ちを繰り返さないように魔物のように狩られてる。」
クロエ
「ママも私と同じ悪魔族なの?」
ママ
「そうよ。私はヴァンパイア族の家系で育った。あの戦争は闇属性が生まれた悪魔族が世界も滅ぼそうとしたと簡単に結論付けてあまりにも一方的だと思わない?本当は間違いなの。」
クロエ
「どうゆうこと?」
ママ
「欲深き人間族はあらゆる土地を巡り我が物のように魔物が棲む森や魔族が棲む谷、亜人
族の住う湖を奪いとった。そしてある事件が起きる。」
クロエ
「ある事件?」
ママ
「人間族は自然の土地のみならず国を奪おうとしたの。人間族はやり過ぎ暴れすぎたのよ。その国は攻める人間族に対しなす術もなく打ち滅ぼされ子供は奴隷に女は犯され殺された。そして悪魔族は迫害されてきた。生き物全てを統一しこの世の人間族を敵に回し戦争になった。それが本当の真実よ。」
ママ
「そして私の母は犯され奴隷となったけど命からがら逃げて私を産んだ。」
クロエは只々静かに聞くしかなかった。
ママ
「ごめんね、クロエ。大切な日にこんな話ばかりして。でもあなたも立派な冒険者となるならこの真実をこの部屋を教えてあげたかった。」
クロエ
「このことは?」
ママ
「私の夫そしてレビィ誰も知らない。」
クロエ
「そっか......」
ママ
「私の家族は人間に殺され恨み続けたけど生きるためには隠し共に暮らさないといけないと決め今の夫と結婚しこのキール村でひっそりと生きることにしたの。」
クロエは立ち上がりママに近寄りママの頭を撫でた。
クロエ
「ママ....辛かったね。でももう大丈夫だよ。私がそんな悪いことしようとする人がいたら懲らしめるからね!」
ママは涙を流した。
ママ
「クロエは本当に優しい子だね。クロエは悪魔の子なんて思ってない。私の可愛い娘だからね。」
クロエを強く抱きしめた。
クロエ
「今旅の目標を見つけたよ。旅をして苦労している生き物を助けてあげるの。悪魔族だとか関係ない。みんな助けてこのキール村で暮らすの。」
ママ
「本当に優しい子だね。その前に強くならなくちゃ」
ママは涙を拭い微笑んだ。
ママ
「でも昔言ったようにあなたの力は隠さないといけないの。いつも閉まっておかなくちゃ。闇属性の魔法は禁止よ。知ってもいけない。あなたはティーフリング族。ティーフリング族は代々火属性の魔法や魔術を操る力を生まれながらに持つことが多いわ。だから火属性の魔法を使い極めなさい。」
クロエ
「うん。頑張る。」
ママは何故ティーフリング族の事を知っているのかどうしてパパではなくレビィではなく私にママのこと、この部屋のことを教えたのか聞きたかったがもう聞くのはやめた。
ママ
「あなたも私と同じ冒険者になりたいのね。なら好きなものを持って行きなさい。」
そう言いながらさっきの部屋に導かれママに言われるがまま衣装を纏めてくれた。
クロエ
「ママ。ダガーしかないの?出来れば杖が欲しいんだけど....」
ママ
「あるわよ。使ったことないけど....」
もう一つのタンスからクロエの胸まである長さの杖を取り出し杖の先端には赤い球が埋め込まれてあった。
ママ
「これは魔道具よ。赤いルビーが埋め込まれてあるでしょ?これが火の魔道具の意味。」
クロエ
「ありがとう!ママ!」
ママ
「ほら。お食事の準備しなきゃね!もうすぐで夕方になっちゃう」
階段に繋がるドアを開けようとしたときママは自分がつけている赤い石のネックレスを外しクロエの首にかけた。
ママ
「これはもう一つのプレゼントよ。大事にしてね。」
その石はいつもママがつけているネックレス。赤い石をよく見ると蜘蛛の印が刻まれてあった。
ママ
「これは私の一族代々受け継ぐネックレスなの。私の本当の名前はセリア=プレシアス=ナーヴァ。プレシアスという名前は隠し一族の名前。クロエ、あなたもその名前を受け継ぎなさい。ただ、隠し通すのよ。」
クロエ
「わかった。」
ママ
「もう一つ言っておかなきゃ。この荷物はすぐにクロエの部屋のタンスに隠しておくこと!パパにも見つからないようにね!」
クロエの名前には
クロエ=プレシアス=ナーヴァ
という名前が刻まれた。
まだ幼いクロエにはこの名前の本当の意味を分からずに。
クロエ
「ただいまー。」
ママ
「おかえりなさい。あら、みんな手伝ってくれたのね!ありがとう!」
クロエ
「ママ?さすがにこれは一人で持てないよ。」
ママ
「ごめんね!でも、ほら!なんとかなった!」
レイはメルとゾーイに小声で
レイ
「やっぱクロエのママだな...」
メルとゾーイは首を縦に何回も振った。
ママ
「みんなも手伝ってくれてありがとね!今晩どお?みんなでお祝いしない?」
メル
「いいんですか〜?」
ママ
「夕方においで?待ってるから!」
クロエはママの料理を手伝った。
ママ
「今日は久しぶりにレビィが帰ってくるから盛大にしなくちゃね!」
クロエ
「ちゃんと騎士らしくなってるかな」
ママ
「きっとなってるわよ。」
レビィは5年前に国の為に騎士となる事を夢を抱きメルーン王国の国王陛下バミリオ王に仕える事を忠誠に誓った。
毎年、レビィではなくクロエの誕生日にだけこのキール村に帰ってくるようになった。
料理の準備も一段落しあとはテラスに準備するだけで休んだ。夕方までまだまだ時間がある。
ママ
「クロエ?いいもの見せてあげる。ちょっとついてきて?」
クロエ
「ん?」
ママがローブを羽織った。
ママ
「クロエ?あなたもローブを羽織りなさい。」
言われるがままローブを羽織った。
家から出て村の反対方向まで歩いた。
広いタナラ平原には芝生が風でなびいていた。
ママ
「気持ちいね!」
クロエ
「見せたかったものってここ?」
ママ
「まさか!違うわよ!」
ママはタナラ平原に続く道を逸れタナラの森に向かった。
クロエ
「ママ!森は危ないよ?昔からママ言ってたでしょ?近づいちゃダメって!」
ママ
「フードを被りなさい。」
ママはローブに付いているフードを頭に被りクロエも従いフードを被った。
初めて入ったタナラの森。
薄暗く肌寒い。上を見ると木の隙間から光が溢れその光がどんどんなくなっていく。奇妙で聞いたことのない鳥のさえずりが怖くてクロエはママの裾を掴みながら後を追いかけた。
キール村へ続く小川を目印に森の奥深く進み大きな礎に辿り着いた。
クロエ
「ママ?この石なあに?」
ママ
「少し離れてなさい。」
ママは礎を前に両手を地面につけ呪文を唱えた。
(一族の隠された部屋を。ここに導け)
礎は物凄い音と共に動き地下に繋がる階段を表した。
ママ
「ここに一族に伝わる隠し部屋を作っておいたの。」
クロエは色々聞きたいことがあったけど部屋についてからにしようと思った。
かなり広い階段だった。2人は階段を下ると壁にろうそくがと灯った。それと同時に出口は塞がれ礎が動く音が聞こえた。
クロエ
「ママ!出口が!」
ママ
「心配ないわよ。」
そう言ってどんどん下った。
階段には赤い旗にどこかの一族の紋章が描かれてあった。それが何枚も何枚も飾ってあった。
少し埃かぶった大きなドアを開いた。
ギィ...
不吉な音で空いた部屋は牢獄のような暗さだった。部屋のろうそくは一斉に灯された。
大きなリビングには本棚、中央に丸い机その上に枯れた薔薇が飾ってあった。
そして錬金術を使う机があり、少し古い椅子が2つ。その横の棚には錬金材料、部屋中壁にはボロボロになった地図に階段にあった大きな旗。
紋章は蜘蛛のマークが書かれている。
クロエ
「ママ...ここってなあに?」
ママ
「もう一つドアがあるでしょう?開いてみなさい。」
クロエは恐る恐るドアを開いた。
リビングと同じくらいの部屋だった。
マネキンが5体あり、赤色のドレス黒色のドレスが飾ってあり真っ黒の衣装が3体。どれも奇抜で見たことのない衣装ばかりだった。大きなドレッサーにクローゼットが3つ。
壁には短剣のダガーや杖が何本も飾ってあった。
ママ
「ここは今日からあなたのものよ。私からの誕生日プレゼントよ。」
クロエ
「ママ.....?」
ママ
「分かってるわよ。聞きたいことがたくさんあるでしょう?なんでも答えるわよ。」
そう言ってママは古くなった椅子に腰を下ろした。
クロエ
「ここって一体なんなの?」
ママ
「ここは私の隠し部屋。誰にも知られることのないよう皆が近づかない森の中に隠したの。」
クロエ
「......え?!」
クロエの頭の中は何がなんだか分からなかった。
ママ
「驚くのは無理もないわよね。いきなりこんなこと言われてもってなるわよ。ここに来たのは200年ぶりかしら。」
クロエ
「200?!」
ママ
「クロエも知ってる通り私はダンピールという種族で不老不死なのよ。私のことはこの地を統べる国王、王妃のみ知ることで口外されないようにされたの。」
クロエ
「でも国王はママのこと記憶がなかったって」
ママ
「それは嘘よ。生きていく為に嘘は付き物なのよ。でもクロエには嘘はついたことないのよ?」
ママは笑いながら言った。
いつもの笑顔だ。でもクロエを安心させる為の笑顔だとクロエ本人も感づいた。
クロエ
「200年前何があったの?」
ママ
「200年前のミラゼゴルの戦いって誰でも知ってるわよね。」
クロエ
「うん。本で読んだことある。」
ママ
「人間族と悪魔族の戦いで悪魔族は一掃され人間族の勝利となったお話ね。私はあの戦争の生き残りってことになるわね。他にも生き残りはいるらしいけどまた同じ過ちを繰り返さないように魔物のように狩られてる。」
クロエ
「ママも私と同じ悪魔族なの?」
ママ
「そうよ。私はヴァンパイア族の家系で育った。あの戦争は闇属性が生まれた悪魔族が世界も滅ぼそうとしたと簡単に結論付けてあまりにも一方的だと思わない?本当は間違いなの。」
クロエ
「どうゆうこと?」
ママ
「欲深き人間族はあらゆる土地を巡り我が物のように魔物が棲む森や魔族が棲む谷、亜人
族の住う湖を奪いとった。そしてある事件が起きる。」
クロエ
「ある事件?」
ママ
「人間族は自然の土地のみならず国を奪おうとしたの。人間族はやり過ぎ暴れすぎたのよ。その国は攻める人間族に対しなす術もなく打ち滅ぼされ子供は奴隷に女は犯され殺された。そして悪魔族は迫害されてきた。生き物全てを統一しこの世の人間族を敵に回し戦争になった。それが本当の真実よ。」
ママ
「そして私の母は犯され奴隷となったけど命からがら逃げて私を産んだ。」
クロエは只々静かに聞くしかなかった。
ママ
「ごめんね、クロエ。大切な日にこんな話ばかりして。でもあなたも立派な冒険者となるならこの真実をこの部屋を教えてあげたかった。」
クロエ
「このことは?」
ママ
「私の夫そしてレビィ誰も知らない。」
クロエ
「そっか......」
ママ
「私の家族は人間に殺され恨み続けたけど生きるためには隠し共に暮らさないといけないと決め今の夫と結婚しこのキール村でひっそりと生きることにしたの。」
クロエは立ち上がりママに近寄りママの頭を撫でた。
クロエ
「ママ....辛かったね。でももう大丈夫だよ。私がそんな悪いことしようとする人がいたら懲らしめるからね!」
ママは涙を流した。
ママ
「クロエは本当に優しい子だね。クロエは悪魔の子なんて思ってない。私の可愛い娘だからね。」
クロエを強く抱きしめた。
クロエ
「今旅の目標を見つけたよ。旅をして苦労している生き物を助けてあげるの。悪魔族だとか関係ない。みんな助けてこのキール村で暮らすの。」
ママ
「本当に優しい子だね。その前に強くならなくちゃ」
ママは涙を拭い微笑んだ。
ママ
「でも昔言ったようにあなたの力は隠さないといけないの。いつも閉まっておかなくちゃ。闇属性の魔法は禁止よ。知ってもいけない。あなたはティーフリング族。ティーフリング族は代々火属性の魔法や魔術を操る力を生まれながらに持つことが多いわ。だから火属性の魔法を使い極めなさい。」
クロエ
「うん。頑張る。」
ママは何故ティーフリング族の事を知っているのかどうしてパパではなくレビィではなく私にママのこと、この部屋のことを教えたのか聞きたかったがもう聞くのはやめた。
ママ
「あなたも私と同じ冒険者になりたいのね。なら好きなものを持って行きなさい。」
そう言いながらさっきの部屋に導かれママに言われるがまま衣装を纏めてくれた。
クロエ
「ママ。ダガーしかないの?出来れば杖が欲しいんだけど....」
ママ
「あるわよ。使ったことないけど....」
もう一つのタンスからクロエの胸まである長さの杖を取り出し杖の先端には赤い球が埋め込まれてあった。
ママ
「これは魔道具よ。赤いルビーが埋め込まれてあるでしょ?これが火の魔道具の意味。」
クロエ
「ありがとう!ママ!」
ママ
「ほら。お食事の準備しなきゃね!もうすぐで夕方になっちゃう」
階段に繋がるドアを開けようとしたときママは自分がつけている赤い石のネックレスを外しクロエの首にかけた。
ママ
「これはもう一つのプレゼントよ。大事にしてね。」
その石はいつもママがつけているネックレス。赤い石をよく見ると蜘蛛の印が刻まれてあった。
ママ
「これは私の一族代々受け継ぐネックレスなの。私の本当の名前はセリア=プレシアス=ナーヴァ。プレシアスという名前は隠し一族の名前。クロエ、あなたもその名前を受け継ぎなさい。ただ、隠し通すのよ。」
クロエ
「わかった。」
ママ
「もう一つ言っておかなきゃ。この荷物はすぐにクロエの部屋のタンスに隠しておくこと!パパにも見つからないようにね!」
クロエの名前には
クロエ=プレシアス=ナーヴァ
という名前が刻まれた。
まだ幼いクロエにはこの名前の本当の意味を分からずに。