BATEL
第20章
クロエ
「ん........」
メル
「あっ!ペイン先生!気がついたみたいだよ!」
ペイン
「まだ休んでなよ。」
ペインの背中で背負った状態だった。
ゴレアリア兵の足音も聞こえる。
クロエ
「どうなったの?」
ペイン
「あー。黒海団のアジトは全滅。今帰ってる途中だよ。」
クロエ
「そっか。.....あの赤い甲冑の人は?」
ペイン
(覚えてないのか.....?!)
「気にしなくていい。まだ休んでな。」
ファリア
「しゃあ!ゴレアリア見えてきたー!!!」
ゾーイ
「とりあえず風呂。」
レイ
「へへへ。だな!」
レイはゾーイの肩を組んだ。
ムゼイア
「打ち上げしよー。」
メル
「おっ!いいねぇ。」
セイン
「とりあえず冒険者ギルドに報告が先ですよ。」
ゴレアリア兵の帰還を待ちわびた国民たちが一斉に迎え入れ歓声をあげた。
兵に囲まれた冒険者2組も生還した。
ナーシャ
「オークをよく倒せましたね。しかも2体も。その一体はオークマジシャンですね!」
そう言ってオークの死体を冒険者ギルドの裏にある戦利品場でマジマジと見た。
レイ
「ナーシャさんよく死体をずーっと見られるっすね。」
ナーシャ
「オークマジシャンって珍しいんですよ!さらにこの長い杖!どうやって作ったのかしら。.......ん?このマーク。」
メル
「ん?」
ナーシャ
「いやね、武器って作られた国か名前が大体刻まれるんですけどね、このマークねアトランティスの国のマークなのよね。アトランティス兵のでも奪ったのかな。」
ペインは何かを思い出したような表情になった。
ペイン
「レイ、後のことは頼んだよ。セイン、少し付き合ってくれ。俺らは少し用事があるから。」
セイン
「わかりました。」
レイ
「え、ちょ、おい。」
レイナ
「この後打ち上げですから早めに戻ってきて下さいね!」
ペイン
「わかったよ。」
ナーシャ
「相変わらず忙しない人ですね。とりあえず冒険者ギルドの受付に来てください。報酬を渡しますね!」
ペインは急ぎめで城に向かった。
セインは何も言わず付いていった。この人が何も言わずについて来いと言うことは何か分かったのかもしれない。そう思った。
城に入り王室間に向かった。
長机を囲むように全隊長5人と王が立っていた。
ナパームストロング
「おお!ちょうどよかった!!こいつらの活躍が無ければ全滅していたところだ!!こいつらは冒険者だ。んで本題に戻そう。聞いていた噂通りハザール国とこのゴレアリア大国の境目に黒海団のアジトを見つけた。一人残らず殺してきた。」
イーヴァルディ王
「よくやった。ハザール国王にも今手紙鳩を飛ばしたところじゃ。」
ゴレアリア大国の王はドアーフの王族で赤く豪華なマントが床に垂れ引きずる形で纏っていた。
ナパームストロング
「何か話があるから来たのだろ?」
ペイン
「はい。いいですか?」
イーヴァルディ王
「うむ。聞こう。」
ペインは懐から手紙を出した。
ペイン
「これは奴らのアジトの拠点砦の最上階に置かれていた物です。最上階には赤い甲冑を纏った謎の男が黒海団の幹部だと仰っていました。どうやら拠点はいくつか存在し幹部も数名いると思います。そしてその手紙の封蝋のマーク見覚えないでしょうか?」
イーヴァルディ王
「そ......それは!!!」
ペイン
「そうです。アトランティス国の国旗のマーク。そしてその幹部もアトランティス国王の命令により黒海団を設立したとそう言っておられました。」
イーヴァルディ王
「あの若造め。」
魔法兵隊長
「イーヴァルディ国王。アトランティスを落とすべきです!!この時こそ魔法を使い戦争をするべきですぞ!!」
ナパームストロング
「その手紙の中身は?」
イーヴァルディ王
「わしが中身を見よう。」
弓兵隊隊長
「気をつけて下さい。」
セイン
「魔法を嫌う奴らです。呪いの呪文はかけられていないでしょう。」
イーヴァルディ王
「ん?」
ナパームストロング
「どうしたので?」
イーヴァルディ王
「何も。何も書かれていない。」
手紙には白紙の一枚のみ入っていた。
ペイン
「賢いな....セインもう行くぞ。」
セイン
「あ、はい。」
ナパームストロング
「後でこの城の近く岩石亭に来い。」
ペインは笑顔で会釈をし玉座の間を出た。
セイン
「アトランティス国が絡んでいるとはね。」
ペイン
「この問題は国の問題だ。冒険者が出しゃばるつもりもないしな。」
セイン
「ですが今回のように冒険者ギルドにどうせまた依頼されますよ。」
ペイン
「今回任務を受けたせいで冒険者ギルドではなく俺らに直々に依頼書が届くだろうな。」
セイン
「す、すみません。」
ペイン
「昔のよしみだ。気にするな。先に宿で休むよ。お前もゆっくり休みなよ。」
レイ ファリア
「俺らがBランクー?!」
ナーシャ
「そうですよ。Bです。」
どうやらレイのパーティとファリアのパーティはBランクに昇格したようだ。
ナーシャ
「では、それぞれ指輪を交換しますね。」
そう言ってナーシャはゴールドの指輪を受付の下から出した。
メル
「これが!上位ランクの指輪!」
レイナ
「私医療班のお手伝いしてただけなんですが....」
ナーシャ
「それも評価してでのBです!」
それぞれ2組の8人はゴールドの指輪を付けた。
レイ
「おおー!」
ナーシャ
「それではBランクになったのでまた任務依頼の仕方が少し変わるので説明しますね。今まで通り掲示板で任務は受けれますがまず一日の始まりは掲示板の前ではなくこちらの階段を上がってギルドマスターから直々に任務が与えられます。」
ゾーイ
「そのギルドマスターから任務の追加分は掲示板からってことか。」
ナーシャ
「そうゆうことになります!」
ナージャ
「ど.....どんな人なんだろうね.....」
ナーシャ
「それはもう!この国で一番強いお方であり私達の憧れでもありますから素晴らしいお方ですよ!!」
クロエ
「は、はぁ.....」
ファリア
「答えになってねぇ....」
ナーシャ
「とりあえず報酬もたんまりもらったし一旦宿に戻るかー。」
クロエ
「ナーシャさん。」
ナーシャ
「なあにー?」
クロエ
「Bランクはこの国に何人いるんですか?」
ナーシャ
「んーだいたい70人くらいかなー?Aだと20人!Sだと.....10人だったよーな。」
レイナ
「10人?!少ないんですね。」
ナーシャ
「そもそもBランクまではサクサクいけるんですがBランクとAランクのハードルが高く10年はかかるんじゃないですかね。またAランクからSランクはもう神の領域。国家レベルで強い人のことを指しますね。ごく稀に適性検査した子供が数週間でSランクに行く子もいますけど....ここ数十年そんな話は聞かないわ。」
ムゼイア
「国家レベルって言われてもピンとこないなぁ。」
レイナ
「国を滅ぼせる力を持っているとか?」
ナーシャ
「そんな感じです。そんな人が放浪者でもなったらたまったもんじゃないんですよ。国の為、兵士になっても敵を殲滅どころか仲間まで全滅ってこともありえます。なのでその力を制御出来る者の集い冒険者ギルドに強制的に入れるんですよ。」
クロエは一人風呂場で湯船に浸かっていた。
クロエ
(今日どうして気絶したのかな....何も思い出せない...)
風呂場のドアを爪でカリカリする音が聞こえた。
クロエ
「ルナ?おいで。」
ドアの隙間からルナが入ってきた。
クロエ
「ルナはあの時どこにいたの?」
ルナは体を舐め前足で顔を擦りだした。
クロエ
(んーペイン先生にもう一回聞いてみようかなぁ)
ブクブクブクブクブクブク.....
メル
「ここが兵御用達の酒場『岩石亭』かあ!」
ムゼイア
「やっほぉ〜。」
クロエ
「ムゼイア達も今来たんだ!」
ファリア
「よぉー。クロエ大丈夫かよ。」
クロエ
「元気!レイナさんの薬のお陰で頭がスッキリしたよ!」
ドアを開けるとものすごい声の数に圧倒された。
呑んで酔い潰れる客、踊っている客、歌っている客様々だったがどれも兵士だった。
ナパームストロング
「おー!来たかー!まあ座れや!ここは俺の奢りだ!!」
メル
「よっしゃー!!!呑むぞー!」
ゾーイ
「しゃー!!ゴルァ!!」
レイ
(こいつ呑むってなったら性格変わりすぎだろ.....)
ファリア
「俺エール!」
レイナ
「では、私も。」
ナージャ
「わ....私も.....」
長机に皆席を変えつつ呑み歌い踊った。
ナパームストロング
「よお、眠り姫。頭は大丈夫かぁー?ギャハハハハハハ。」
クロエ
「は、はぁ。」
セイン
「クロエ、呑んでいますかな?」
クロエ
「はい。」
セイン
「君の暗殺術は素晴らしいってペインさん言ってましたよ。」
ナパームストロング
「暗殺術なんて兵士には使えねえよ!魔物退治でも使いずらいだろうな!」
そう言い捨てナパームストロングはジョッキを片手に違う席に向かった。
セイン
「気にする事ないさ。あのペインさんに褒められたんですからね。」
クロエ
「ペイン先生は凄い人なの?」
セイン
「元々メルーン王国の最高指揮官だったんですよ。急に旅に出るとか言って兵を辞めましたけど。隠密任務は一番苦手だと言っていましたが恐らくクロエさんあなたに戦い方を教えたかったんだと思いますよ。」
クロエ
「そうなんですね。」
セイン
「私とペインさんは悪魔族殲滅部隊に選ばれた事があって共にパーティを組んで悪魔族と戦った事もあるんですよ。」
クロエ
「その悪魔族ってのは何故殲滅しなくちゃならないんですか?」
セイン
「それはですね.....」
ペイン
「ここに居たかクロエー!今日はよくやったな!呑んでるか?」
セインの会話を遮るようにペインは横から入った。
ペイン
「そういえばセイン、隊長が呼んでたぞ。」
セイン
「分かりました。」
そう言ってセインは立ち上がり少しふらついた様子で隊長の方に向かった。
レイもゾーイも楽しく笑いながら呑む様子を見ながらクロエも一口飲んだ。
クロエ
「ねえ、先生。」
ペイン
「なんだ?」
クロエ
「先生は悪魔族のことどう思う?」
ペイン
「そうだなー。俺もヴァンパイア族で悪魔族に分類される。悪魔族は確かに世界を滅ぼそうと何度も戦争を巻き起こしたり今日のように悪魔族がかつてしてきたかのように人間族も同じ事を繰り返す。だからただ目の前の敵と戦うしかないんだよな。」
クロエ
「んー。」
ペイン
「まっお前はお前だ。悪魔族だからって気にすることはない。人間のように振る舞えばいいのさ。俺みたいに血を飲まなければ身体が弱くなってしまう心配もない。角も生えてもいない。どうみたって人間だよ。肌が異様に白いだけだけどな。」
クロエ
「そういえばペイン先生は血を飲むの?」
ペイン
「人間のじゃない。動物のだけどな。まあこんな話はここでするもんじゃないよな。ははは。これを誰かに聞かれたら俺だってまた放浪人に戻ってしまう。」
クロエ
「はははは。そうだね。」
ペイン
「そういえばお前夢とかあるのか?」
クロエ
「夢?」
ペイン
「夢だよ。目標があって冒険者になったんじゃないのか?」
クロエ
「この世界の隅々を見てみたい。」
ペインはクロエの背後にセリアの面影を見た。
ペイン
(セリアも同じことを言っていたな。親の子だな。まったく。)
「あははは。そうか。」
クロエ
「何で笑うのよー。んもお。」
ペイン
「いやー。ごめんごめん。まっ今日は楽しめよ。明日は休養して明後日からまた任務だ。」
クロエ
「うん。分かった。」
ムゼイア
「あ〜いたいた〜。くろちん〜。」
クロエ
「ぬあ!もうムゼイア飲み過ぎだよー!」
レイ
「くっそ。またこれかよ。」
ゾーイ
「うぉーーい。まだ飲めるぞ〜。」
ベロベロになったゾーイはレイが担いでいた。
クロエ
「メルー!帰るよー!」
メルは仲良くなった知らない冒険者4人と仲良く飲んでいた。
メル
「うんー!今行くー!」
レイ
「誰だよ?あいつら。」
クロエ
「さあ?冒険者でしょ。帰ろっ。」
次の日は非番で休みを取ることになった。
レイは新調した武器を取りに武器屋、ゾーイは二日酔いで寝込みメルとクロエは買い物に出かけた。ペインはいつものようにどこか出かけていた。
メル
「ねえ!見て!これ!!可愛い!!」
ゴレアリア大国随一の防具店に来たクロエとメルはクラスも変わり様変わりな防具を求めてきた。
クロエ
(ドリスの革細工屋が一番だな。私。)
メル
「んふふ〜。」
沢山の買い物袋を持って満足気にしていたメルは次にアクセサリー屋に来た。
メル
「ねえ、ゾーイとレイって耳空いてたっけ?」
クロエ
「えーっと、どうかなぁ。」
メル
「4人でお揃いのピアスとか買おうよ!」
クロエ
「それいいねぇ!」
早速ピアスを見て回った。
メル
「ねえねえ、これとかいいんじゃない?」
見せてきたピアスはダイヤが輝き凄く大きなピアスだった。
クロエ
「いや、冒険者だしあまり大きな物は....あっこれとかどーお?」
そう言って見つけたピアスは小さな赤いルビーがチェーンでぶら下がったピアスだった。
メル
「可愛いね!でもレイとゾーイには可愛すぎない?」
クロエ
「レイとゾーイにはこっち!」
それは小さな赤いルビーのついた小さなピアスだった。
メル
「これに決定!!私たち女性はぶら下がったルビーのピアス。男どもは小さなルビーのピアス。」
クロエ
「男ども.....」
ルナ
「にゃぁ.....」
店を出た2人は宿に向かった。
???
「おっ!昨日の娘じゃーん!」
メル
「あっ!やっほー!」
???
「君可愛いねぇ。」
どうやら昨日酒場でメルが仲良く呑んでいた4人組の冒険者だった。4人とも見た目は凄くチャラい。
メル
「紹介するね!こっちがクロエ!凄く可愛いでしょ!友達だからね!」
クロエ
「あ...どうも....」
4人に圧倒されクロエはただ後退りした。
メル
「この人たちBクラスの冒険者らしくて凄く面白い人たちなんだよー!」
クロエ
「そうなんだ!」
???
「ねえねえ俺ら今日休みなんだよね!メルちゃん達も今から一緒に遊ばない?」
メル
「うん!いいよ!」
クロエ
「あっメル!買い物袋宿に持って行ってあげるから遊んでおいで?夕飯までに戻ってくるんだよ!」
メル
「え、いいの?んじゃ行ってくる!」
そう言ってメルは嬉し気に4人の男と街へ消えて行った。
クロエ
「ふぅ....ルナ。疲れたよー。」
クロエは大量の買い物袋を持ち宿に向かった。
ルナ
「んにゃぁー。」
カランッ
ゼフ
「おー。お帰り。おや、メルちゃんはどうしたー?」
クロエ
「知らない冒険者と遊びに行ったよー。」
ゼラ
「あんたも大変だねぇ。」
それから夕飯の時間にもメルは帰って来なかった。
レイ
「なあ、メル遅くねーか?」
ゾーイ
「先食おうぜ。」
クロエ
「でも.....」
レイ
「どうせ昨日の奴らと一緒に呑んでるんだろ。」
レイはそう言って骨つき肉をかぶり付いた。
クロエ
「そ、そうだよね!」
クロエは少し不安気に骨つき肉を見つめた。
カランッ
クロエ
「あっ!」
ペイン
「おーやってるねぇ。」
クロエ
「なんだ。先生か。」
ペイン
「なんだとはなんだよ。あれ、メルは?」
レイ
「昨日の奴らとどーせそこら辺で呑んでんすよ。」
ペイン
「ふー。」
レイ
「どしたんすか。」
ペインはどさっと椅子に座り机に置いていた酒瓶を直に呑んでこう言った。
ペイン
「いやー、この隣町まで歩いて行って疲れただけさ。転送魔法も1時間に1回とかどうにかならないのかね。」
ゾーイ
「なんかどこかで聞いたセリフだな。」
レイ
「で、何で隣町まで?」
ペイン
「黒海団のアジトを見つけてな。どうやらこの国の冒険者数人と繋がってるらしくて単独で調査してたんだよ。」
クロエ
「アジト?」
ペイン
「
「ん........」
メル
「あっ!ペイン先生!気がついたみたいだよ!」
ペイン
「まだ休んでなよ。」
ペインの背中で背負った状態だった。
ゴレアリア兵の足音も聞こえる。
クロエ
「どうなったの?」
ペイン
「あー。黒海団のアジトは全滅。今帰ってる途中だよ。」
クロエ
「そっか。.....あの赤い甲冑の人は?」
ペイン
(覚えてないのか.....?!)
「気にしなくていい。まだ休んでな。」
ファリア
「しゃあ!ゴレアリア見えてきたー!!!」
ゾーイ
「とりあえず風呂。」
レイ
「へへへ。だな!」
レイはゾーイの肩を組んだ。
ムゼイア
「打ち上げしよー。」
メル
「おっ!いいねぇ。」
セイン
「とりあえず冒険者ギルドに報告が先ですよ。」
ゴレアリア兵の帰還を待ちわびた国民たちが一斉に迎え入れ歓声をあげた。
兵に囲まれた冒険者2組も生還した。
ナーシャ
「オークをよく倒せましたね。しかも2体も。その一体はオークマジシャンですね!」
そう言ってオークの死体を冒険者ギルドの裏にある戦利品場でマジマジと見た。
レイ
「ナーシャさんよく死体をずーっと見られるっすね。」
ナーシャ
「オークマジシャンって珍しいんですよ!さらにこの長い杖!どうやって作ったのかしら。.......ん?このマーク。」
メル
「ん?」
ナーシャ
「いやね、武器って作られた国か名前が大体刻まれるんですけどね、このマークねアトランティスの国のマークなのよね。アトランティス兵のでも奪ったのかな。」
ペインは何かを思い出したような表情になった。
ペイン
「レイ、後のことは頼んだよ。セイン、少し付き合ってくれ。俺らは少し用事があるから。」
セイン
「わかりました。」
レイ
「え、ちょ、おい。」
レイナ
「この後打ち上げですから早めに戻ってきて下さいね!」
ペイン
「わかったよ。」
ナーシャ
「相変わらず忙しない人ですね。とりあえず冒険者ギルドの受付に来てください。報酬を渡しますね!」
ペインは急ぎめで城に向かった。
セインは何も言わず付いていった。この人が何も言わずについて来いと言うことは何か分かったのかもしれない。そう思った。
城に入り王室間に向かった。
長机を囲むように全隊長5人と王が立っていた。
ナパームストロング
「おお!ちょうどよかった!!こいつらの活躍が無ければ全滅していたところだ!!こいつらは冒険者だ。んで本題に戻そう。聞いていた噂通りハザール国とこのゴレアリア大国の境目に黒海団のアジトを見つけた。一人残らず殺してきた。」
イーヴァルディ王
「よくやった。ハザール国王にも今手紙鳩を飛ばしたところじゃ。」
ゴレアリア大国の王はドアーフの王族で赤く豪華なマントが床に垂れ引きずる形で纏っていた。
ナパームストロング
「何か話があるから来たのだろ?」
ペイン
「はい。いいですか?」
イーヴァルディ王
「うむ。聞こう。」
ペインは懐から手紙を出した。
ペイン
「これは奴らのアジトの拠点砦の最上階に置かれていた物です。最上階には赤い甲冑を纏った謎の男が黒海団の幹部だと仰っていました。どうやら拠点はいくつか存在し幹部も数名いると思います。そしてその手紙の封蝋のマーク見覚えないでしょうか?」
イーヴァルディ王
「そ......それは!!!」
ペイン
「そうです。アトランティス国の国旗のマーク。そしてその幹部もアトランティス国王の命令により黒海団を設立したとそう言っておられました。」
イーヴァルディ王
「あの若造め。」
魔法兵隊長
「イーヴァルディ国王。アトランティスを落とすべきです!!この時こそ魔法を使い戦争をするべきですぞ!!」
ナパームストロング
「その手紙の中身は?」
イーヴァルディ王
「わしが中身を見よう。」
弓兵隊隊長
「気をつけて下さい。」
セイン
「魔法を嫌う奴らです。呪いの呪文はかけられていないでしょう。」
イーヴァルディ王
「ん?」
ナパームストロング
「どうしたので?」
イーヴァルディ王
「何も。何も書かれていない。」
手紙には白紙の一枚のみ入っていた。
ペイン
「賢いな....セインもう行くぞ。」
セイン
「あ、はい。」
ナパームストロング
「後でこの城の近く岩石亭に来い。」
ペインは笑顔で会釈をし玉座の間を出た。
セイン
「アトランティス国が絡んでいるとはね。」
ペイン
「この問題は国の問題だ。冒険者が出しゃばるつもりもないしな。」
セイン
「ですが今回のように冒険者ギルドにどうせまた依頼されますよ。」
ペイン
「今回任務を受けたせいで冒険者ギルドではなく俺らに直々に依頼書が届くだろうな。」
セイン
「す、すみません。」
ペイン
「昔のよしみだ。気にするな。先に宿で休むよ。お前もゆっくり休みなよ。」
レイ ファリア
「俺らがBランクー?!」
ナーシャ
「そうですよ。Bです。」
どうやらレイのパーティとファリアのパーティはBランクに昇格したようだ。
ナーシャ
「では、それぞれ指輪を交換しますね。」
そう言ってナーシャはゴールドの指輪を受付の下から出した。
メル
「これが!上位ランクの指輪!」
レイナ
「私医療班のお手伝いしてただけなんですが....」
ナーシャ
「それも評価してでのBです!」
それぞれ2組の8人はゴールドの指輪を付けた。
レイ
「おおー!」
ナーシャ
「それではBランクになったのでまた任務依頼の仕方が少し変わるので説明しますね。今まで通り掲示板で任務は受けれますがまず一日の始まりは掲示板の前ではなくこちらの階段を上がってギルドマスターから直々に任務が与えられます。」
ゾーイ
「そのギルドマスターから任務の追加分は掲示板からってことか。」
ナーシャ
「そうゆうことになります!」
ナージャ
「ど.....どんな人なんだろうね.....」
ナーシャ
「それはもう!この国で一番強いお方であり私達の憧れでもありますから素晴らしいお方ですよ!!」
クロエ
「は、はぁ.....」
ファリア
「答えになってねぇ....」
ナーシャ
「とりあえず報酬もたんまりもらったし一旦宿に戻るかー。」
クロエ
「ナーシャさん。」
ナーシャ
「なあにー?」
クロエ
「Bランクはこの国に何人いるんですか?」
ナーシャ
「んーだいたい70人くらいかなー?Aだと20人!Sだと.....10人だったよーな。」
レイナ
「10人?!少ないんですね。」
ナーシャ
「そもそもBランクまではサクサクいけるんですがBランクとAランクのハードルが高く10年はかかるんじゃないですかね。またAランクからSランクはもう神の領域。国家レベルで強い人のことを指しますね。ごく稀に適性検査した子供が数週間でSランクに行く子もいますけど....ここ数十年そんな話は聞かないわ。」
ムゼイア
「国家レベルって言われてもピンとこないなぁ。」
レイナ
「国を滅ぼせる力を持っているとか?」
ナーシャ
「そんな感じです。そんな人が放浪者でもなったらたまったもんじゃないんですよ。国の為、兵士になっても敵を殲滅どころか仲間まで全滅ってこともありえます。なのでその力を制御出来る者の集い冒険者ギルドに強制的に入れるんですよ。」
クロエは一人風呂場で湯船に浸かっていた。
クロエ
(今日どうして気絶したのかな....何も思い出せない...)
風呂場のドアを爪でカリカリする音が聞こえた。
クロエ
「ルナ?おいで。」
ドアの隙間からルナが入ってきた。
クロエ
「ルナはあの時どこにいたの?」
ルナは体を舐め前足で顔を擦りだした。
クロエ
(んーペイン先生にもう一回聞いてみようかなぁ)
ブクブクブクブクブクブク.....
メル
「ここが兵御用達の酒場『岩石亭』かあ!」
ムゼイア
「やっほぉ〜。」
クロエ
「ムゼイア達も今来たんだ!」
ファリア
「よぉー。クロエ大丈夫かよ。」
クロエ
「元気!レイナさんの薬のお陰で頭がスッキリしたよ!」
ドアを開けるとものすごい声の数に圧倒された。
呑んで酔い潰れる客、踊っている客、歌っている客様々だったがどれも兵士だった。
ナパームストロング
「おー!来たかー!まあ座れや!ここは俺の奢りだ!!」
メル
「よっしゃー!!!呑むぞー!」
ゾーイ
「しゃー!!ゴルァ!!」
レイ
(こいつ呑むってなったら性格変わりすぎだろ.....)
ファリア
「俺エール!」
レイナ
「では、私も。」
ナージャ
「わ....私も.....」
長机に皆席を変えつつ呑み歌い踊った。
ナパームストロング
「よお、眠り姫。頭は大丈夫かぁー?ギャハハハハハハ。」
クロエ
「は、はぁ。」
セイン
「クロエ、呑んでいますかな?」
クロエ
「はい。」
セイン
「君の暗殺術は素晴らしいってペインさん言ってましたよ。」
ナパームストロング
「暗殺術なんて兵士には使えねえよ!魔物退治でも使いずらいだろうな!」
そう言い捨てナパームストロングはジョッキを片手に違う席に向かった。
セイン
「気にする事ないさ。あのペインさんに褒められたんですからね。」
クロエ
「ペイン先生は凄い人なの?」
セイン
「元々メルーン王国の最高指揮官だったんですよ。急に旅に出るとか言って兵を辞めましたけど。隠密任務は一番苦手だと言っていましたが恐らくクロエさんあなたに戦い方を教えたかったんだと思いますよ。」
クロエ
「そうなんですね。」
セイン
「私とペインさんは悪魔族殲滅部隊に選ばれた事があって共にパーティを組んで悪魔族と戦った事もあるんですよ。」
クロエ
「その悪魔族ってのは何故殲滅しなくちゃならないんですか?」
セイン
「それはですね.....」
ペイン
「ここに居たかクロエー!今日はよくやったな!呑んでるか?」
セインの会話を遮るようにペインは横から入った。
ペイン
「そういえばセイン、隊長が呼んでたぞ。」
セイン
「分かりました。」
そう言ってセインは立ち上がり少しふらついた様子で隊長の方に向かった。
レイもゾーイも楽しく笑いながら呑む様子を見ながらクロエも一口飲んだ。
クロエ
「ねえ、先生。」
ペイン
「なんだ?」
クロエ
「先生は悪魔族のことどう思う?」
ペイン
「そうだなー。俺もヴァンパイア族で悪魔族に分類される。悪魔族は確かに世界を滅ぼそうと何度も戦争を巻き起こしたり今日のように悪魔族がかつてしてきたかのように人間族も同じ事を繰り返す。だからただ目の前の敵と戦うしかないんだよな。」
クロエ
「んー。」
ペイン
「まっお前はお前だ。悪魔族だからって気にすることはない。人間のように振る舞えばいいのさ。俺みたいに血を飲まなければ身体が弱くなってしまう心配もない。角も生えてもいない。どうみたって人間だよ。肌が異様に白いだけだけどな。」
クロエ
「そういえばペイン先生は血を飲むの?」
ペイン
「人間のじゃない。動物のだけどな。まあこんな話はここでするもんじゃないよな。ははは。これを誰かに聞かれたら俺だってまた放浪人に戻ってしまう。」
クロエ
「はははは。そうだね。」
ペイン
「そういえばお前夢とかあるのか?」
クロエ
「夢?」
ペイン
「夢だよ。目標があって冒険者になったんじゃないのか?」
クロエ
「この世界の隅々を見てみたい。」
ペインはクロエの背後にセリアの面影を見た。
ペイン
(セリアも同じことを言っていたな。親の子だな。まったく。)
「あははは。そうか。」
クロエ
「何で笑うのよー。んもお。」
ペイン
「いやー。ごめんごめん。まっ今日は楽しめよ。明日は休養して明後日からまた任務だ。」
クロエ
「うん。分かった。」
ムゼイア
「あ〜いたいた〜。くろちん〜。」
クロエ
「ぬあ!もうムゼイア飲み過ぎだよー!」
レイ
「くっそ。またこれかよ。」
ゾーイ
「うぉーーい。まだ飲めるぞ〜。」
ベロベロになったゾーイはレイが担いでいた。
クロエ
「メルー!帰るよー!」
メルは仲良くなった知らない冒険者4人と仲良く飲んでいた。
メル
「うんー!今行くー!」
レイ
「誰だよ?あいつら。」
クロエ
「さあ?冒険者でしょ。帰ろっ。」
次の日は非番で休みを取ることになった。
レイは新調した武器を取りに武器屋、ゾーイは二日酔いで寝込みメルとクロエは買い物に出かけた。ペインはいつものようにどこか出かけていた。
メル
「ねえ!見て!これ!!可愛い!!」
ゴレアリア大国随一の防具店に来たクロエとメルはクラスも変わり様変わりな防具を求めてきた。
クロエ
(ドリスの革細工屋が一番だな。私。)
メル
「んふふ〜。」
沢山の買い物袋を持って満足気にしていたメルは次にアクセサリー屋に来た。
メル
「ねえ、ゾーイとレイって耳空いてたっけ?」
クロエ
「えーっと、どうかなぁ。」
メル
「4人でお揃いのピアスとか買おうよ!」
クロエ
「それいいねぇ!」
早速ピアスを見て回った。
メル
「ねえねえ、これとかいいんじゃない?」
見せてきたピアスはダイヤが輝き凄く大きなピアスだった。
クロエ
「いや、冒険者だしあまり大きな物は....あっこれとかどーお?」
そう言って見つけたピアスは小さな赤いルビーがチェーンでぶら下がったピアスだった。
メル
「可愛いね!でもレイとゾーイには可愛すぎない?」
クロエ
「レイとゾーイにはこっち!」
それは小さな赤いルビーのついた小さなピアスだった。
メル
「これに決定!!私たち女性はぶら下がったルビーのピアス。男どもは小さなルビーのピアス。」
クロエ
「男ども.....」
ルナ
「にゃぁ.....」
店を出た2人は宿に向かった。
???
「おっ!昨日の娘じゃーん!」
メル
「あっ!やっほー!」
???
「君可愛いねぇ。」
どうやら昨日酒場でメルが仲良く呑んでいた4人組の冒険者だった。4人とも見た目は凄くチャラい。
メル
「紹介するね!こっちがクロエ!凄く可愛いでしょ!友達だからね!」
クロエ
「あ...どうも....」
4人に圧倒されクロエはただ後退りした。
メル
「この人たちBクラスの冒険者らしくて凄く面白い人たちなんだよー!」
クロエ
「そうなんだ!」
???
「ねえねえ俺ら今日休みなんだよね!メルちゃん達も今から一緒に遊ばない?」
メル
「うん!いいよ!」
クロエ
「あっメル!買い物袋宿に持って行ってあげるから遊んでおいで?夕飯までに戻ってくるんだよ!」
メル
「え、いいの?んじゃ行ってくる!」
そう言ってメルは嬉し気に4人の男と街へ消えて行った。
クロエ
「ふぅ....ルナ。疲れたよー。」
クロエは大量の買い物袋を持ち宿に向かった。
ルナ
「んにゃぁー。」
カランッ
ゼフ
「おー。お帰り。おや、メルちゃんはどうしたー?」
クロエ
「知らない冒険者と遊びに行ったよー。」
ゼラ
「あんたも大変だねぇ。」
それから夕飯の時間にもメルは帰って来なかった。
レイ
「なあ、メル遅くねーか?」
ゾーイ
「先食おうぜ。」
クロエ
「でも.....」
レイ
「どうせ昨日の奴らと一緒に呑んでるんだろ。」
レイはそう言って骨つき肉をかぶり付いた。
クロエ
「そ、そうだよね!」
クロエは少し不安気に骨つき肉を見つめた。
カランッ
クロエ
「あっ!」
ペイン
「おーやってるねぇ。」
クロエ
「なんだ。先生か。」
ペイン
「なんだとはなんだよ。あれ、メルは?」
レイ
「昨日の奴らとどーせそこら辺で呑んでんすよ。」
ペイン
「ふー。」
レイ
「どしたんすか。」
ペインはどさっと椅子に座り机に置いていた酒瓶を直に呑んでこう言った。
ペイン
「いやー、この隣町まで歩いて行って疲れただけさ。転送魔法も1時間に1回とかどうにかならないのかね。」
ゾーイ
「なんかどこかで聞いたセリフだな。」
レイ
「で、何で隣町まで?」
ペイン
「黒海団のアジトを見つけてな。どうやらこの国の冒険者数人と繋がってるらしくて単独で調査してたんだよ。」
クロエ
「アジト?」
ペイン
「