Ritratto〜変わってしまった君へ〜

この豪邸を誕生日に父からプレゼントされた時、地下室も作ってもらった。この地下室には婚約者のジュリアーノも知らない私の趣味が隠されている。

コツコツと私の歩く足音が響く。暗い地下室のドアには頑丈な鍵がかけられている。鍵穴に鍵を差し、ゆっくりと回す。するとガチャンと音を立てて鍵が開いた。私はそのままドアを開けて中に入る。

部屋はそれほど広くはない。その部屋の中心には真っ白なキャンバスが置かれ、様々な色の絵の具が用意されている。全部、自分で用意したものだ。

いつからか、ここで絵を描くことが趣味になっていた。ただの風景画を描いているんじゃない。肖像画だ。

私は筆を手に取り、キャンバスに絵を描き始める。もう何度も描いたあの人ーーールカの肖像画を。

この部屋は、ルカの肖像画で満たされている。様々な豪華な額縁に入れられたルカの肖像画が飾られているんだ。

「できた……」

出来上がったルカの肖像画を見つめ、私はポツリと呟いた。