Ritratto〜変わってしまった君へ〜

「あなたや他の子どもたちが来るのはいいけど、ルカだけは連れて来ないでちょうだい」

あれだけルカを可愛がっていた母もルカを気味悪がり、ルカの母親に言っていた。そしてルカと一番仲がよかった私は両親から「あんな化け物に近付かないように」と言われてしまった。

貴族にとって親という立場は絶対。親に逆らってはならない。だから、私は「カタリーナ！」と言いいつものようにバラを差し出す彼の手を振り払った。そして他の貴族みたいに冷たい目で彼を睨んだの。

「あんた、気持ち悪い。私の前に来ないでよ」

そう吐き捨て、私はルカを置いて母たちの元へ向かった。こうすることが私のこれからの人生にとっていいから、これが正しい選択だから、絶対に泣くことはなかったし、自分は間違ってないと言い聞かせた。

その日を境にルカは豪邸に閉じこもるようになり、一度も姿を見せることはなかった。貴族の間でもルカの話はされなくなり、時間だけが流れていく。