Ritratto〜変わってしまった君へ〜
そして、私が十八歳の誕生日を迎えたその日、私はルカの兄であるジュリアーノが婚約者だと両親から言われた。十八歳になれば貴族は婚約者を連れて来られる。だから、私の胸に驚きなどなかった。

ジュリアーノは私より五歳年上で、パーティーなどで多くの女性に囲まれるほどの美貌の持ち主だ。頭もよく、ダンスや乗馬も一流。そんな彼と結婚できるなんて、と貴族の友達は羨ましがっていた。

そんな時だった。幼い頃会ったきりだったルカと再会したのは……。

両家の親睦をさらに深めようとジュリアーノの豪邸で行われた食事会で、私は廊下でたまたま自室から出てきたルカと目が合った。

「ルカ……」

私がそう呟くと、ルカは疲れたような笑みを浮かべて「カタリーナ……」と呟く。その顔は相変わらず醜く、彼はフードのついた服を着てとにかく顔を隠そうとしていた。

「カタリーナ、お義父さんが呼んでるよ。……ってルカ何で部屋から出て来てるんだ!化け物は部屋に引っ込んでろよ!」

私を呼びに来たジュリアーノがルカを嗤い、私もジュリアーノのように彼に対して「相変わらず醜い顔ね」と吐き捨てた。
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