拝啓 突然ですが大好きです!つきましては私と交際をして頂きたくこの文書を送付させて頂きま(以下省略)
……え?
ゆっくり目を開けると、朝比奈くんは私から顔を逸らして。
その顔の上には、項垂れるように手が置かれていた。そのせいで今どんな顔をしているのか全く分からない。
「朝比奈くん…?」
「どいて」
感情の読み取れない平坦な声。
「あっ…ご、ごめん!重かったよね!?」
私ったら我を忘れていつまでも朝比奈くんの上に馬乗りになって…最低!
弾かれるように立ち上がると、朝比奈くんは間髪いれず、ゴロン、と寝転んだまま私に背を向けた。
「もー寝る」
「え…ここで!?」
「ここでいいよ。もうここから一歩も動けないくらい眠いから」
「そ、そっか…」
部屋におちる沈黙。
私は床に散らばったトランプをまとめてケースにしまった。
その間も朝比奈くんは何も言わない。
もしかしてもう寝ちゃった、とか…?
「電気消してっていいから。俺真っ暗でも眠れるし」
あ、まだ起きてたらしい。
でも、本格的に寝る気満々みたいで。
「うん…おやすみ」
「おやすみ」