拝啓 突然ですが大好きです!つきましては私と交際をして頂きたくこの文書を送付させて頂きま(以下省略)
「朝比奈くん下の、名前っ…」
じわ、目の前が涙でにじむ。
どうしよう。
胸がいっぱいで。
朝比奈くんでいっぱいで。
知らなかった。
彼の口に紡がれれば、自分の名前がこんなに甘い響きを持つってこと。
名前を呼ばれるだけで、こんなにも胸がいっぱいになるってこと。
深く唇をあわせて、朝比奈くんの親指が、私の目元をひどく優しい手つきで撫でたとき
「ほんとに、だいすき……」
熱かった体からスッと力が抜けて。
「…え?おい…嘘だろ…?」
焦ったような朝比奈くんの声を遠くに聞きながら
微睡むように、意識が途切れた。