拝啓 突然ですが大好きです!つきましては私と交際をして頂きたくこの文書を送付させて頂きま(以下省略)
なんで俺が誘ってほしいみたいになってんだ!?
「…でねっ、私も柴犬は大好きなんだけど、家が狭いからミニチュアダックスフンドも可愛いな~なんて考えてて…」
昼休み。
屋上でいつものようにランチをとりながら、なぜか犬について力説している変人女、宮原水萌。
「そしたらさ、そしたらさっ、もし私が犬飼っちゃったりしたら朝比奈くんとドッグランデートとかしちゃったりお散歩デートとかしちゃったり…!!」
「待て。なんの話?」
「な、何ってそりゃー朝比奈くんと朝比奈くんちの柴犬と私とまだ見ぬマイドッグとのダブルデートのことに決まってるじゃん?」
「はぁ?俺んちの柴犬ってなんの話だよ」
「なんの話って、こないだ朝比奈くん言ってたじゃん!バカでマヌケな柴犬を構うのに忙しいって」
蘇る記憶。
…そういえば…そんなこと言ったかも。
でもそれは俺が柴犬を飼ってるってことじゃなくて。
あのとき言った、柴犬っていうのは…
「でっ、朝比奈くんちの柴犬の写真見せて!!」
キラキラクルクルした子犬みたいな瞳で、宮原が俺をじっと見つめた。