月は笑う
つくづくと自分はついていると、歩美は思う。
満月が過ぎるまで、避難できる場所も確保できた。
メールもシステム部に遮断してもらうように依頼した。届かなければどうということはない。
満月の日まで、一週間を切っている。
あともう少しの辛抱だ。
もう少しの。
避難したおかげか、それからは謎の贈り物に悩まされることはなかった。
あいかわらず、道端でナンパされたり会社で声をかけられたりということは続いている。
ストーカーもさすがに綾子の家まではつきとめられなかったらしい。
もちろん、会社の帰りには用心してわざと人の多いところを通り、タクシーを使って後をつけられない工夫は
欠かさなかったけれど。
武史からは、毎日優しいメールが届いた。
綾子に、どんな人かと聞かれたら、「優しい人」とだけ答えている。
いよいよ、今日は満月の日。
朝から声をかけられる回数は、今までで一番多かった。
今日が最後と思えば、笑顔でかわすこともできる。
必要以上にモテるのも考え物だ。
帰宅が遅くなるという綾子のために、コンビニで頼まれた弁当とビールを買って帰宅した。
メールをチェックすると、武史からメールが入っていた。
『ロケが早く終わって、帰って来られたんだけど今から会える?』
『もちろん!今友達の家だから、少し遅くなるけどいい?』
返信は、早かった。
武史のマンションで待ち合わせることにする。
芸能人とつきあうということは、外でデートできなくなるということだ。
それはわかっている。
今着ている服を見下ろした。
これは部屋着だから論外だ。
あとは、会社に着て行くための服しかない。
一度部屋によって着替えることにした。
武史のマンションは同じ駅だから問題ない。
綾子に、
『彼と会うことになったから、今日は帰るね。ありがとう。お礼はまた今度。おごるよ!』
とだけ、メールを送って歩美は綾子の部屋を出た。
地下鉄の駅を飛び出して、徒歩五分の距離ももどかしく、自分の部屋にかけこむ。
急いで着替えて、メイクをなおして。
満月が過ぎるまで、避難できる場所も確保できた。
メールもシステム部に遮断してもらうように依頼した。届かなければどうということはない。
満月の日まで、一週間を切っている。
あともう少しの辛抱だ。
もう少しの。
避難したおかげか、それからは謎の贈り物に悩まされることはなかった。
あいかわらず、道端でナンパされたり会社で声をかけられたりということは続いている。
ストーカーもさすがに綾子の家まではつきとめられなかったらしい。
もちろん、会社の帰りには用心してわざと人の多いところを通り、タクシーを使って後をつけられない工夫は
欠かさなかったけれど。
武史からは、毎日優しいメールが届いた。
綾子に、どんな人かと聞かれたら、「優しい人」とだけ答えている。
いよいよ、今日は満月の日。
朝から声をかけられる回数は、今までで一番多かった。
今日が最後と思えば、笑顔でかわすこともできる。
必要以上にモテるのも考え物だ。
帰宅が遅くなるという綾子のために、コンビニで頼まれた弁当とビールを買って帰宅した。
メールをチェックすると、武史からメールが入っていた。
『ロケが早く終わって、帰って来られたんだけど今から会える?』
『もちろん!今友達の家だから、少し遅くなるけどいい?』
返信は、早かった。
武史のマンションで待ち合わせることにする。
芸能人とつきあうということは、外でデートできなくなるということだ。
それはわかっている。
今着ている服を見下ろした。
これは部屋着だから論外だ。
あとは、会社に着て行くための服しかない。
一度部屋によって着替えることにした。
武史のマンションは同じ駅だから問題ない。
綾子に、
『彼と会うことになったから、今日は帰るね。ありがとう。お礼はまた今度。おごるよ!』
とだけ、メールを送って歩美は綾子の部屋を出た。
地下鉄の駅を飛び出して、徒歩五分の距離ももどかしく、自分の部屋にかけこむ。
急いで着替えて、メイクをなおして。