メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「あれぇ~?ハルどうしたの?」

気だるい様子で玲央が出てきた。上半身には何も身に付けておらず、デニムパンツのファスナーを上げながら近づいてくる。シルバーブルーの髪は乱れていた。

「お前・・・!!」

目に力が入っていつもより更に鋭くなっているのが自分でもわかる。

「俺今シャワー浴びるとこだったんだ。超よかったけど、興奮し過ぎてくたくたで・・・?そんなに目血走らせちゃってどうしたの?あ、わかった~あの写真見て、キョウの姿、生で見たくなったんでしょ?」

意味ありげに笑われてますます苛立つ。何言ってるんだこいつ。

「キョウ、もう服着ちゃった?」

玲央が奥の部屋に声をかけると『ううん?まだ。』と杏花の声が小さく聞こえた。やっぱり二人はそういうことになってしまったのだ。

足元の床も地面もなくなり、地球の向こう側まで、いや、それも通り越して果てしない宇宙の暗闇まで落ちていくように感じる。もう二度と戻ってこられないだろうが、それでいい。

「よかった。ちょっと来てくれる~?」

何億光年も先まで落ちていってしまいそうだった俺は、杏花を呼ぶ玲央の声の引力でこの場に引き戻された。

───いや、それまずいだろ。服着てない状態でここに出てこいってことかよ!?

「お、おい・・・!!」

おろおろしているとドアが開いた。思わず息を呑む。見るわけにはいかない。慌てて床に目線を落とした。
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