メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「・・・暖人!?」

驚いた様子の、でもなんだか嬉しそうな杏花の声に思わず顔を少し上げると黒い編み上げブーツが見えてそのまま目線を上にした。

オフショルダーの黒いミニドレス。胸元には黒いリボン、アイドルの衣装みたいにふわっとしたスカート部分には黒いレースのフリルが3段ついている。前髪を上げておでこを出していて、ウェーブがかかった癖毛はストレートに伸ばされている。化粧も普段とは違う色っぽい感じに仕上げられていた。でもその中に彼女の幼い可愛らしさが残されていて、別人に見えるというわけでもない。

「どう~?セクスィーでしょ~?すごくね?レミの技。俺と同じで美しい外見とアクセサリー作りの類稀(たぐいまれ)な才能の他に優れたメイク技術まであるわけよ。俺達最強じゃね?」

玲央が誇らしげに言う。

「玲美・・・!?」

───ここに二人きりじゃなかったのか!?

「ねえ!!うるさいんだけど!!ただでさえ睡眠時間短いんだから静かに寝かせ・・・ハル!?」

奥からスウェット姿の玲美が出てきて一際大きく叫んだ。顔はすっぴんでますます玲央とそっくりである。

「レミが一番うるさいよ~。」

玲央にそう言われた彼女は持っていたクッションで顔を隠しつつ彼を睨み付けた。
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