メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
帰宅してすぐにお風呂を沸かした。買ってきたパンは焼きたてだったので、お母さんに『先に食べたら。』と言われた。いつもの私なら言われなくてもそうするだろうけれど、今日は一刻も早くお風呂に入りたかった。
急いで服を脱いでヘアクリップで髪を上げ全身鏡の前に立つ。ボディソープを泡立てて体を洗いシャワーで流すと、メイクのキスマークは綺麗に消えた。玲美さんが『ポディソープで落ちる体用のメイクコスメだから。』と言っていた通りだった。
体に残ったのは暖人がつけてくれた焼印のようなキスマーク。彼が初めて私の体に残した痕跡だ。色々な形、大きさをしたその一つ一つが愛おしい。
以前付き合った彼とはキスより先には進んでいなかった。唇へのキスの後、首に触れられたことはあったけれど、そうなるとどんどん先に進んでしまいそうで、彼の唇が私の肌を吸う前に体を離してしまっていたのだ。求めてくれたのに申し訳なかったけれど、どうしても踏み出せなかった。
今朝、暖人の唇が肌に触れただけで今までに感じたことのない快感と幸福感が同時に全身を包んだ。もっと強く、もっと下の方も、と貪欲に彼の唇を求めてしまう私の恥ずかしい心の声が聞こえてしまっていたのか、暖人は触れられる範囲の隅々にまで触れてくれた。
暖人と自分の荒い息遣い、自分の体と心そして彼の唇の熱さ、あの時私が感じていたのはそれだけだ。暖人の前で玲央さんにリングをはめられて嫌だったこと、
人のマンションであんなことをしてしまっている罪悪感や羞恥心───それらは全て彼のキスに塗りつぶされてしまっていた。
───ずっと消えないといいのにな。
彼はどんな思いで私に触れてくれたのか。男の人は好きではない女の人にも触れることがあるというのは、ドラマや漫画、小説で知った。でもあの時の彼を思い出すと、もしかしたら彼の心の中にも私と同じ恋の花が咲いているのではないかなどと思ってしまうのだった。
───自意識過剰。恋に興味を持ったばかりの私の感なんて当てにならないよね。
髪を洗う為にヘアクリップをパカッと開くと胸下まである長い髪がパサリと下りてきて、あの瞬間私が彼のものだったという証を隠した。
急いで服を脱いでヘアクリップで髪を上げ全身鏡の前に立つ。ボディソープを泡立てて体を洗いシャワーで流すと、メイクのキスマークは綺麗に消えた。玲美さんが『ポディソープで落ちる体用のメイクコスメだから。』と言っていた通りだった。
体に残ったのは暖人がつけてくれた焼印のようなキスマーク。彼が初めて私の体に残した痕跡だ。色々な形、大きさをしたその一つ一つが愛おしい。
以前付き合った彼とはキスより先には進んでいなかった。唇へのキスの後、首に触れられたことはあったけれど、そうなるとどんどん先に進んでしまいそうで、彼の唇が私の肌を吸う前に体を離してしまっていたのだ。求めてくれたのに申し訳なかったけれど、どうしても踏み出せなかった。
今朝、暖人の唇が肌に触れただけで今までに感じたことのない快感と幸福感が同時に全身を包んだ。もっと強く、もっと下の方も、と貪欲に彼の唇を求めてしまう私の恥ずかしい心の声が聞こえてしまっていたのか、暖人は触れられる範囲の隅々にまで触れてくれた。
暖人と自分の荒い息遣い、自分の体と心そして彼の唇の熱さ、あの時私が感じていたのはそれだけだ。暖人の前で玲央さんにリングをはめられて嫌だったこと、
人のマンションであんなことをしてしまっている罪悪感や羞恥心───それらは全て彼のキスに塗りつぶされてしまっていた。
───ずっと消えないといいのにな。
彼はどんな思いで私に触れてくれたのか。男の人は好きではない女の人にも触れることがあるというのは、ドラマや漫画、小説で知った。でもあの時の彼を思い出すと、もしかしたら彼の心の中にも私と同じ恋の花が咲いているのではないかなどと思ってしまうのだった。
───自意識過剰。恋に興味を持ったばかりの私の感なんて当てにならないよね。
髪を洗う為にヘアクリップをパカッと開くと胸下まである長い髪がパサリと下りてきて、あの瞬間私が彼のものだったという証を隠した。