メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
テーブルの上にはひと口しか飲まれていないハーブティーがまだ熱々のまま残されていた。さっきこの席に座っていた女性が残していったものだ。
サラサラの黒髪ボブヘアで白いニットと赤いタータンチェックのスカートを履いた彼女にハーブティーを配膳しテーブルを離れると、カップからひと口啜った彼女がガタッと立ち上がった。
何かこちらのミスがあったのかと思って彼女の方に向かおうとするとあちらから私に近寄ってきた。ああ、またやってしまった、そう思っていると彼女はすまなそうな顔をして『すみません。』と切り出した。
「あのこれ、出して頂いたばかりなんですけど、もう・・・。」
「申し訳ありません!何か・・・。」
持った感じ、温度は大丈夫だったはずだ。ご注文のものと違う種類のハーブティーを出してしまったのだろうか、それとも薄かったとか・・・。
「いえ、とても美味しいんですけれど、待ち合わせしてて、相手が思ったより早く着いたみたいだから。」
その言葉にミスでなくてよかったと胸を撫で下ろす。彼女はとても嬉しそうだ。これから恋人と会うのだろうか。
「そうなのですね。では、お持ち帰り用のカップに入れ替えましょうか?」
「大丈夫です。残しちゃってすみません。せっかく淹れてくださったのに。しかももうすぐ閉店時間だったんですね。」
「いえ、ご丁寧にありがとうございます。素敵なクリスマスをお過ごしください。」
そう言うと微笑んで可愛らしい笑顔を返してくれた。彼女のように人を気遣える人はきっと素敵な恋愛をしているのだろう。私とは大違い───昨年お付き合いしていた彼のことを思い出す。
サラサラの黒髪ボブヘアで白いニットと赤いタータンチェックのスカートを履いた彼女にハーブティーを配膳しテーブルを離れると、カップからひと口啜った彼女がガタッと立ち上がった。
何かこちらのミスがあったのかと思って彼女の方に向かおうとするとあちらから私に近寄ってきた。ああ、またやってしまった、そう思っていると彼女はすまなそうな顔をして『すみません。』と切り出した。
「あのこれ、出して頂いたばかりなんですけど、もう・・・。」
「申し訳ありません!何か・・・。」
持った感じ、温度は大丈夫だったはずだ。ご注文のものと違う種類のハーブティーを出してしまったのだろうか、それとも薄かったとか・・・。
「いえ、とても美味しいんですけれど、待ち合わせしてて、相手が思ったより早く着いたみたいだから。」
その言葉にミスでなくてよかったと胸を撫で下ろす。彼女はとても嬉しそうだ。これから恋人と会うのだろうか。
「そうなのですね。では、お持ち帰り用のカップに入れ替えましょうか?」
「大丈夫です。残しちゃってすみません。せっかく淹れてくださったのに。しかももうすぐ閉店時間だったんですね。」
「いえ、ご丁寧にありがとうございます。素敵なクリスマスをお過ごしください。」
そう言うと微笑んで可愛らしい笑顔を返してくれた。彼女のように人を気遣える人はきっと素敵な恋愛をしているのだろう。私とは大違い───昨年お付き合いしていた彼のことを思い出す。