メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
『恋人がいたらクリスマスは一緒に過ごす。』という認識がなかった私は例年通り24、25日ともバイトを入れてしまっていた。
一緒に過ごすとばかり思っていた彼にイブ3日前に待ち合わせ場所と時間を提示された時、バイトを入れてしまっていることを言うと彼はひどく傷ついた顔をしていた。あの時から亀裂が入り始めた・・・というか、私はそもそも最初から彼のことをちゃんと見ていなかったのだ。
───きっと私には恋愛なんて無理なんだ・・・。
「熱っ!」
心ここにあらずだった私は透明のティーカップを倒してしまいハーブティーがテーブルにこぼれ、自分にもかかった。
「杏花ちゃん!?」
レジ閉めをしていた店長が飛んでくる。
「ごめんなさい!カップは割れてないです。すぐ拭きますから。」
「そんなのいいから!どこにかかった!?」
見たこともない怖い顔で聞かれ『右手に・・・。』と答えると店長は私の手を掴んで、商品棚の間を再び飛ぶように走り抜けていく。商品整理をしている竹中さんに『竹中くん、悪いけどカフェスペース頼む!』と声をかけると『え!?はい。』とその剣幕に驚く竹中さんの横をあっという間に通り過ぎて、レジの奥のスタッフルーム横にある給湯室のドアを乱暴に開けた。
水道の蛇口を思いきり捻ると水が顔に跳ねるくらい勢いよく吹き出す。店長は一直線に落下する水で私の右手を冷やしながら私の全身を見回す。
「他には!?どこにもかかってない!?」
「えっと、お腹にもかかったけどエプロンがあるから大丈夫です。」
そう言うと店長は片手で私の右手を水に当てたまま、もう片方の手で私のエプロンの紐をほどいて外した。
「あの、本当に申し訳ありません。最近ミスばっかりで・・・。」
険しい顔をしている店長を見上げて言うと彼は表情を変えずに『話は後でしよう。』と言った。ああ、私バイトクビかな、と思った。そうならなかったとしても、こんなに迷惑ばかりかけてこのままここにいられるわけがなかった。
一緒に過ごすとばかり思っていた彼にイブ3日前に待ち合わせ場所と時間を提示された時、バイトを入れてしまっていることを言うと彼はひどく傷ついた顔をしていた。あの時から亀裂が入り始めた・・・というか、私はそもそも最初から彼のことをちゃんと見ていなかったのだ。
───きっと私には恋愛なんて無理なんだ・・・。
「熱っ!」
心ここにあらずだった私は透明のティーカップを倒してしまいハーブティーがテーブルにこぼれ、自分にもかかった。
「杏花ちゃん!?」
レジ閉めをしていた店長が飛んでくる。
「ごめんなさい!カップは割れてないです。すぐ拭きますから。」
「そんなのいいから!どこにかかった!?」
見たこともない怖い顔で聞かれ『右手に・・・。』と答えると店長は私の手を掴んで、商品棚の間を再び飛ぶように走り抜けていく。商品整理をしている竹中さんに『竹中くん、悪いけどカフェスペース頼む!』と声をかけると『え!?はい。』とその剣幕に驚く竹中さんの横をあっという間に通り過ぎて、レジの奥のスタッフルーム横にある給湯室のドアを乱暴に開けた。
水道の蛇口を思いきり捻ると水が顔に跳ねるくらい勢いよく吹き出す。店長は一直線に落下する水で私の右手を冷やしながら私の全身を見回す。
「他には!?どこにもかかってない!?」
「えっと、お腹にもかかったけどエプロンがあるから大丈夫です。」
そう言うと店長は片手で私の右手を水に当てたまま、もう片方の手で私のエプロンの紐をほどいて外した。
「あの、本当に申し訳ありません。最近ミスばっかりで・・・。」
険しい顔をしている店長を見上げて言うと彼は表情を変えずに『話は後でしよう。』と言った。ああ、私バイトクビかな、と思った。そうならなかったとしても、こんなに迷惑ばかりかけてこのままここにいられるわけがなかった。