メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「竹中くん、寂しがってくれるのは嬉しいけど、俺の後任の店長のことしっかり支えてね?俺より年上のキビキビした女性みたいだから、スタッフルームでハメ外したりしないように。」

「・・・なっ!?んなことするわけないじゃないですかっ!!」

竹中さんは分かりやすく動揺していた。莉那さんの目も泳いでいる。

「まぁ、今日は思い出作りだよ。他の店舗でも異動とかバイトさんの卒業とかあるからさ。」

店長が言うと竹中さんはメラメラと目に炎を燃やした。

「ぅよしっ!あっつい思い出作りましょうね!俺に任せてください!ばっちり盛り上げますから!」

「もう、暑苦しいんだから。」

莉那さんがうっとおしそうに体を離すと竹中さんは嬉しそうにニヤリとして『嫌いじゃないくせに。』と指で彼女の脇腹をつついた。

「もう、やめてよバカ!二人の前で・・・本気で怒るからね!」

思わず体をくねらせてしまった莉那さんは顔を真っ赤にして怒っていたが、なんだか嬉しそうで微笑ましく思う。

そんな私を店長が運転席からじっと見ていることに気がついた。店長の後ろにはスーパーの看板が見える。ちょうど食材調達の為のスーパーの駐車場に車を停めたところだった。私達グループが代表して購入し後で割り勘することになっている。後部座席の二人はごそごそと降りる準備をしていた。

ふいに店長の手が伸びて指の背で頬に触れられる。

「赤くなってる。車内暑かった?」

「・・・ううん。」

俯いて言うと店長は優しく微笑んで私のシートベルトを外してくれた。
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