メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「・・・大丈夫、何もしないよ。何もしないから杏花ちゃんの近くにいてもいいかな?」

思わず身構えてしまった私に店長は静かに言った。

「近くに・・・?」

「バイト先の店長じゃなくなっても、これからも友達とか兄とかそういう存在として近くにいたいんだ。ほら杏花ちゃんも俺も一人っ子だし。幼なじみのお姉さんの話よくしてくれるでしょ。俺もそんな関係になれたらいいなって。杏花ちゃんの近くにいられるなら、もうどんな関係でもいいんだ。なんなら杏花姫専属運転手でもいい。」

「高園さん・・・。」

「・・・なんて。近くにいたらいつか俺のこと好きになってくれるんじゃないかな、なんて下心もあるけどね。」

「・・・そういうのって言わない方がいいんじゃないの?」

「ははっ!そうだね。」

店長は楽しそうに笑って寝そべる私に向かって手を差し出す。

「もし、了承してくれるなら友達の握手しよう。」

握手をするべき・・・?とりあえずハンモックの上で起き上がったらバランスを崩してしまった。店長がサッと支えてくれる。顔が近い。

「・・・いつでもこうやって支えるから。俺に甘えて?」

「・・・。」

「あ、そうだ!まだ日付変わってないよね?」

店長は急いでテントに向かいすぐに戻ってきた。手には小さな包みを持っている。
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