メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「お世話になっております。時計職人の暖人です。あの俺・・・。」
「暖人さん、初めまして。ハコイリギフトの葉吉です。」
葉吉社長が名刺を差し出してくれたので、慌てて『頂戴します。』と言って自分の名刺を差し出す。同じようなグラム数の紙のはずなのに、重さが全然違う気がしてしまう。
「ご挨拶が遅れてしまってすみません。暖人さんの時計、素晴らしいです。弊社と契約してくださりありがとうございます・・・それに杏花がお世話になっているみたいで。」
「え!?お父さん、私達のこと知ってたの!?」
葉吉社長に問いかける杏花に彩木さんが答える。
「お母さんが知ってたの。杏花が、暖人さんのお店で見た雪うさぎの腕時計をしてるのに気がついて。」
「こちらこそお嬢さんにはいつもお世話になってて・・・それにあのハンドメイドイベントの時はホテルまで予約して頂いて・・・。」
穏やかな物腰の葉吉社長に丁寧に頭を下げられ恐縮してしまい、思わずホテルのことを口走ってしまった。
「ん?ホテル?そう言えば衣緒、あのホテルに電話で予約した時、『一部屋お願いしたいのですが』って言ってなかったか?」
しまった、と思ったが時既に遅しだった。杏花もハッとした表情になっている。彩木さんは気まずそうな様子で答えた。
「その、杏花が暖人さんと知り合ってることに気づいたのはあのイベントより後で、イベントには女の子のお友達と出るのだとばかり思っていて・・・。」
「じゃあ、まさか・・・!!」
葉吉社長の表情が一瞬で険しいものに変わった。春の柔らかな陽射しが、漂う緊張感でピキーンと固まったように感じた。
「お、同じ部屋に泊まらせて頂きましたが、ご心配されるようなことは・・・。」
───太ももだってギリギリ触らなかったし・・・あ、まずい、寝てる杏花にキスしてた。こんなこと言ったら杏花にどう思われるかも怖いし、社長に殴られるかも・・・。こういう穏やかな人ほど怒ると怖いんだ。言わなきゃばれないけど、そういうわけには・・・。
「申し訳ありません!しました!」
「「「ええっ!?!?」」」
ボコボコにされる覚悟を決めて勢いよく頭を下げた俺に、葉吉一家が3人揃って驚きの声を上げた。
「暖人さん、初めまして。ハコイリギフトの葉吉です。」
葉吉社長が名刺を差し出してくれたので、慌てて『頂戴します。』と言って自分の名刺を差し出す。同じようなグラム数の紙のはずなのに、重さが全然違う気がしてしまう。
「ご挨拶が遅れてしまってすみません。暖人さんの時計、素晴らしいです。弊社と契約してくださりありがとうございます・・・それに杏花がお世話になっているみたいで。」
「え!?お父さん、私達のこと知ってたの!?」
葉吉社長に問いかける杏花に彩木さんが答える。
「お母さんが知ってたの。杏花が、暖人さんのお店で見た雪うさぎの腕時計をしてるのに気がついて。」
「こちらこそお嬢さんにはいつもお世話になってて・・・それにあのハンドメイドイベントの時はホテルまで予約して頂いて・・・。」
穏やかな物腰の葉吉社長に丁寧に頭を下げられ恐縮してしまい、思わずホテルのことを口走ってしまった。
「ん?ホテル?そう言えば衣緒、あのホテルに電話で予約した時、『一部屋お願いしたいのですが』って言ってなかったか?」
しまった、と思ったが時既に遅しだった。杏花もハッとした表情になっている。彩木さんは気まずそうな様子で答えた。
「その、杏花が暖人さんと知り合ってることに気づいたのはあのイベントより後で、イベントには女の子のお友達と出るのだとばかり思っていて・・・。」
「じゃあ、まさか・・・!!」
葉吉社長の表情が一瞬で険しいものに変わった。春の柔らかな陽射しが、漂う緊張感でピキーンと固まったように感じた。
「お、同じ部屋に泊まらせて頂きましたが、ご心配されるようなことは・・・。」
───太ももだってギリギリ触らなかったし・・・あ、まずい、寝てる杏花にキスしてた。こんなこと言ったら杏花にどう思われるかも怖いし、社長に殴られるかも・・・。こういう穏やかな人ほど怒ると怖いんだ。言わなきゃばれないけど、そういうわけには・・・。
「申し訳ありません!しました!」
「「「ええっ!?!?」」」
ボコボコにされる覚悟を決めて勢いよく頭を下げた俺に、葉吉一家が3人揃って驚きの声を上げた。