メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「・・・お前さ、ポケットにお菓子隠し持ってたりするのか?」

「え?持ってないよ?」

「じゃ、香水つけてるのか?」

「ううん、つけてないよ。」

「なら、シャンプーとか洗剤がお菓子みたいな香りとか。」

「両方ともお花の香りだよ。」

───じゃあ、どうして・・・?どこから・・・?

何故かとても気になり、体を屈めて彼女の首辺りに顔を近づけた。香りが強くなる。

「お、出所はこの辺かな・・・。なんでこんなところから・・・?このイヤーカフかネックレス、香りがするアクセサリーとか?」

「ぁ、息が当たってくすぐったい・・・。両方とも違うよ。」

(あお)るようなか細いその声に俺の中で何かがうごめいた。

───なんでそんな声出すんだよ・・・なんかこいつ妙に色気があるんだよな。胸がデカいとか露出が激しいとかでもないのに・・・いや、この顔で胸がデカいよりも普通サイズなのが逆にリアルで生々しい・・・。高めなのにうるさくない声、ゆったりとした話し方や仕草。滑らかそうな肌。そしてこの甘い香り・・・ていうか俺は何で心動かされてんだ。俺ってロリコンだったのか。いや、こいつは22歳、子供じゃないんだ。だから特に問題は───。

俺は机に両手をついて、触れてはいないものの彼女を後ろから包み込むような形になった。
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