メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
ちなみに玲美と津村、玲央とアカネのド派手な合同結婚式は11月に行われることになっている。新郎二人がワイヤーで会場を飛び回るパフォーマンスまであるらしい。俳優になってもおかしくないイケメン二人が宙を舞うなんてもはや結婚式というよりショーではないだろうか。

それにしても玲央はわかるが津村がその(たぐい)のパフォーマンスをするとは意外だ。玲美に影響されたのかもしれない。とは言え今は玲美の方が津村に夢中らしい。二人がアツアツ過ぎて会社兼アトリエに居づらいと玲央が(こぼ)していた。


一緒に暮らし始める前の話だが、付き合い始めて約一ヶ月後、杏花が社会人になってから卒業したバイト先に遊びに行くことになった時のことだ。俺に気を遣ってか一緒に行かないかと誘われた。あのパーフェクトなアイドル店長にもらったギフトカードを思い出す。

───俺もあいつのように器大きくならないとな。

一緒に行きたい気持ちを心に押し込んで『制作があるし、皆と楽しんで来いよ。』と返信してしまった。

正直その日は気が気ではなかった。彼女のことは信じているし、あの店長だってちゃんとした男だろうと思っている。それでもどうしてもモヤモヤしてしまっていた。

すると、杏花からペアのティーカップセットとお菓子の写真が送られて来た。俺も来ると思って用意してくれていたらしい。やっぱり今はまだあの店長には敵わないと思った。大人の男としてもっと心に余裕を持ちたいと思ったし、俺は俺の仕事(フィールド)で結果を出したいと思った。
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