メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
でも様子がおかしいのは私も同じかもしれない。いつも通りに振る舞えているだろうか。

行きの新幹線で寝ている時、話し声がしてぼんやりと目が覚めた。

『きょうだいで旅行?いいわねぇ。』という年配の女性の声に暖人が『はい。』と即答していた。

周りから見ても私達はそんな風にしか見えない。そして彼自身も私のことを子供としか思っていないんだろうけれど、私は、彼に対して今まで誰にも抱いたことがない感情を抱いている。

今日、お店が上手くいって暖人が喜んでくれて、湧き上がった嬉しさが全身を駆け巡った。

人が喜んでくれるのは嬉しい。だからハンドメイドをやっているところもある。ハンドメイドなら既製の商品よりも、よりその人の好みに近いものを自由に作ってプレゼントすることが出来るから。

でも、プレゼントをしたり悩み事の相談に乗ったりして誰かが喜んでくれた時に感じる、じんわりとした嬉しさとは違う、もっと強い、体の芯が震えるような喜びを私は今日感じた。

この人の一番近くにいてずっと喜ばせていたい、それが自分の幸せ、そんな気持ちだ。
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