メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
「・・・くそっ・・・。」

自分の理性を誉め称えてやりたい。悪魔め、俺を甘く見たな。あと数mmで太股に触れるというところで俺は手を数cmずらし、杏花のはだけた浴衣の前を元に戻した。続いて布団をかけようとして手が止まる。

───あれ?そう言えばこいつ昨日俺がフルーツ牛乳こぼした時、『中まで濡れちゃった』とか言ってたけど、ということはもしかして上半身は浴衣の下は何も・・・?

「!!!!!」

俺は彼女に乱暴に布団をかけると、光の速さで和室まで逃げ帰り布団をすっぽりと被った。

───勘弁してくれよ・・・もう。

ドキドキし過ぎて泣きそうな自分が恥ずかしくてたまらない。でもいくら襖で仕切られていても好きな女が同じ空間で無防備に寝ているのだ。落ち着けるわけがない。

書き置きでもして外に散歩に行くという手もあったが、ドキドキして仕方ないものの彼女と離れたくないという謎の心理により、間をとってこの部屋のテラスに出てみることにした。
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