メレンゲが焼きマシュマロになるまで。
目覚めた瞬間、隣を確認する。夜中に目が覚めた時隣に寝ていた暖人がもういないことを知り、ひどく寂しく感じつつ時間を確認すると6時半だった。

昨夜のことを思い出すと全身が熱くなってくる。今思えば和室で寝ていた彼が何故私のベッドで寝ていたのだろう。寝ぼけていたのだろうか。でも、そんなことあの時は考えもしなかった。ただただ幸せに包まれていた。

───お付き合いしてもいない人にキスをしてしまった。自分からキスをしたのも初めてだ・・・。

彼の唇に触れた後はまるでもう一度温泉に入ってのぼせたかのように体が火照ってしまって、暑いなと思いながら再び眠りについたのだった。

布団を蹴り飛ばしているかも、と思ったけれど、今起きたら意外にもきちんと布団をかけていた。

暖人と同じ部屋に泊まれる、それを聞いた時正直ワクワクした。別のホテルに泊まってなんてほしくなかった。近くにいられることがこんなにも嬉しいし、離れたくないと思ってしまう。

更に自分でも驚いているのが、彼に触れられても嫌ではなくもっと触れてほしいと思ってしまうこと、そして彼に触れたいと思ってしまうことだ。

今まで恋人に対してもこんな風に感じたことはなかった。触れられることはあっても、もっと、とか、自分から触れたい、なんて思ったことはなかった。

人を好きになるとこんなにもその人の近くに行きたくて、その人に触れてほしいし触れたくなるものなのだろうか。好きだと思っているだけでは駄目なのだろうか。初めて感じる感情に違和感、いやそれ以上になんだか人には言えないすごく恥ずかしい感情のように思える。

世の中の恋人達や夫婦は皆こんな感情を持っているのだろうか。爽ちゃんと蒼大さんも、お父さんとお母さんも・・・。
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