フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
「わたくし、王位継承権を放棄しますわ。
そして、王女の身分を返上します」
「えっ……」
まさに、衝撃的な告白だった。
ミレイ王女が……王女をやめる、だけでなく。王位継承権を放棄?
「そ、それでは……後継者は?ミレイ王女がやめてしまえば、今の国王陛下には跡継ぎがいなくなるのでは?」
「その点は心配要らないわ。だって、レイが継ぐもの」
あっけらかんとミレイ王女が口にした言葉は、先ほどの宣言以上のショックを私に与えた。
(レイが……王様に?なぜ……国を憎んでたはずじゃないの??)
自分と親を棄てた、と吐き捨てるように言ってた。その時の怒りは本物だったはず。なのに……どうして? 自分の命を奪いかけた危険な国にわざわざ戻るの?
「……嘘……レイは……故郷を憎んでた。なぜ……わざわざ戻るの?」
「さあ?わたくしは教えて貰えないから、何とも言えないわ」
ただ、とミレイ王女はバッグから何かを取り出す。白地に金箔があしらわれた模様付きの封筒だった。今時封蝋までしてある。
「こちらは、サクラ宛て。これがカスミ宛てよ。レイが自ら書いた手紙みたいだから、何か書いてあるのではないかしら?」