フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


病院での最後の夜はなかなか眠れなかった。

ミレイ王女から渡されたレイからの手紙は、無くさないように肌身離さず身につけている。

年が明けてから開けてほしい、と伝えられているけれど。今すぐ開封したい衝動に駆られる。彼は、なぜ急に冷たくなったのか。あれほど憎んでた母国へ戻るのか。きっと理由が書いてあるはず。

何度も手が伸びて封筒に触れては、いけないと首を横に振る。

(駄目!きっと大切なことだから、彼からの信頼を裏切る訳にはいかない)

レイからの、ラストメッセージだ。開ける日付が大切なら……それをちゃんと守らなきゃ。

ただ……やっぱり、レイのいない夜は寂しくて。彼からの手紙を抱き締めて目をつぶると、レイの香りを仄かに感じる。それだけでスウッと眠りに入ることが出来た。

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