フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約



「じゃあ、もういいわね」
「うん」

12月31日の退院はお母さんが迎えに来てくれた。とはいえ数日と短期だったし、同じベリーヒルズ内の病院だから歩いて帰れる。
少ない荷物をお母さんと手分けして持つと、ゆっくりゆっくり歩いた。

「さくら、本当にもう大丈夫なの?」
「うん、秋吉先生も太鼓判押してくれたでしょ。後は傷口を清潔にしてくださいって」

お母さんたちには、実は銃での傷と知らせてない。王女の暗殺未遂事件が関わるから、固く口止めされてる。
とはいえ、知られたら知られたで、東京は物騒だから!と今すぐ地元に連れ帰られそうだ。

今日帰ったら荷物をまとめて出ていこうと思ったけど、そう言えばお母さんとお父さんが滞在してたんだった。

私が入院中、レイはレジデンスに帰ってきたのかな?

「あの、お母さん……レイはマンションにいるの?」
「真宮さん? そう言えば、帰ってきてないわね。秘書の方にキーを渡されたけど、あなたと真宮さんがいない以上勝手に家を使うわけにはいかないから、近くのホテルに泊まっているわよ」

お母さんの話に、やっぱりと思う。

私が入院した時以来、レイは家にも帰ってないんだ。

< 117 / 139 >

この作品をシェア

pagetop