フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
たぶん、売ると安くても最低何億の世界。
「どうするかは、あなたの自由ですよ」
小椋さんがそう言ってくれるけど……。私にはあまりにも分不相応で、権利書が入る箱を開ける勇気すら持てない。
「こんなの……い、いただくわけには……」
「レイ王子は」
私の言葉を遮るように、小椋さんは言葉を被せてきた。
「“あんな出逢い方さえしなければ”ーーと、常々おっしゃってましたよ」
「え…………それって」
私が見返すと、小椋さんは「さあ?お二人にしかわからないんでは?」と惚ける。
「さくら、レイ王子ってどういうこと?……さくら?」
お母さんの声も、ろくに聞こえなくなっていった。
(出逢い方……契約で恋人をするって話?あれは、レイからの提案だった)
それを、彼が反省していた??
「さて、ボクも忙しいので失礼しますね!あ、そうそう。ちゃんとお手紙読んであげてくださいね。では!」
小椋さんは手をヒラヒラと振りながら、颯爽と去っていった。