フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

午前0時……

年が明けた。

今日、1月1日は私の誕生日。

割り当てられた部屋で、レイからの手紙が入る封筒を前に躊躇してた。

(やっぱり別れを告げる手紙……だよね?)

お母さんはレイが私を大切にしていた。好きなら信じろと言ってたけど、病室での突き放した態度や、何も言わずに急に姿を消したことや、母国に帰ることとか。どう考えても、私が好かれていたとは思えない。

(でも……いつまでも怖がっていても仕方ない……別れを告げるなら、それを受けいれなきゃいけないんだから)

深呼吸をして、自分に落ち着けと言い聞かせる。震える手が汗ばんで、封筒をうまく開けない。

封筒を開くと、色の違う二種類の便箋が出てきた。

ひとつは薄水色で新しく、もうひとつはレポート用紙のようなものに書かれ、古びて黄ばんでさえいた。

手前にあったのは、レポート用紙の方。

“レイを愛する者へ”

そんな文が折り畳まれた紙の上に書いてあり、ドキッと胸が鳴る。

(いったい誰からのだろう?)

ガサガサとレポート用紙を広げた私は、そこに書かれていた意外すぎる名前に驚いた。

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