フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


「……ひどい」

思わずぎゅっと握りしめて紙がくしゃくしゃになってしまったけど。慌ててテーブルで丁寧に慎重に伸ばしてから、読むのを再開した。

『母后と大臣は贅沢三昧で豪遊、浪費癖があった。廷臣たちより賄賂を受けとり、癒着は当たり前……。
金が足りぬ、と何の理由もなく税率を上げ、福利厚生の予算を削り、金持ちや貴族を優遇し特権階級のみ有利になる政策ばかり押し進め、結果国内はひどい状態になった。
しかし、その名前は女王であるわたくしの名の元で進められたため、恨まれるのは女王のわたくしだった』

(……なんてこと)

わずか5歳で……
小椋さんから聴いていた話と同じだった。

それから、むさぼるように読んだ。
10枚近くに渡ってびっしりと書かれた手紙は、次第に文字が乱れていく。

それがなぜかわかったのは、手紙の後半からだった。

『わたくしは幼い頃より持病があり、長くは生きられないと医師に言われたそうです。なので、どうせ長くは居ないだろう、と都合のよい駒として王位に就けたのでしょう。
病気により子も持てぬと言われていたので……わたくしの血すじの後継者はできぬはず、と』


< 127 / 139 >

この作品をシェア

pagetop