フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

『これは、私の身勝手な行動だ。だから、あなたは気にやまなくてもいい。
必ず、グレース王国を母上が目指した国にして見せる。
民が普通に食事を食べることができて、病院に掛かることができ、子どもが学び笑顔で暮らせる、平和な国へ』

だが、とレイは続けてこう書いていた。

『反体制派やミレイと協力するが、この国の中枢部奥深く、しかも末端までもが相当病んでいる。大臣や祖母王太后を排斥するだけでは、おそらく完治は見込めないだろう。大規模な改革が必要だ。その分、相当な危険度や反発があるのは承知している。
だが、命を賭けて必ずやり遂げてみせる。
最悪、王室廃止と貴族議会を解散する覚悟もある』

……これは、グレース王国にとって大改革になる。相当な荒療治だろう。

『だから、今日明日で結果が出せるものではない。何年も……何十年も掛かるかもしれない。
だから、私はあなたに無責任な約束はできない。
あなたが待てない、別の道を、幸せを欲しいというなら止める権利はない。
私はあなたの恋人でも何でもないのだから』







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