フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約


『はじめ、私はレストランであなたを見た時、愚かだと内心笑っていた。
明らかに男に騙されているのに、盲目的に従うだけの馬鹿な女だ、と。
だが……
あなたが毅然とした態度で裏切った二人に対した時に、もう目が離せなくなっていた。
そしてエレベーターに乗り込む時に追いかけて 、展望台で密かに泣いている姿に魅入られたんだ。
そして、あなたを手にしてみたい……と、咄嗟に偽のプロポーズをしてしまってた。
あの時、私こそ本当に愚かだった。
素直に告白すれば良かったと、何度悔いたことか。
あなたが本当の恋人でないと泣いたりしても……そうじゃない、と言いたくても言えない。本当に、心底自分に呆れた。
自分で自分に嘘をついて、偽りの関係にしてしまった己の愚かさに、吐き気がするくらいだ』

(レイ……)

嘘、だった。

契約の話から、既に嘘だったんだ。

じわりじわりと、嬉しさがこみ上げてくる。

『あなたは自分が平凡以下と評するが、私にはすべてが魅力的だ。だから、不確定な約束で縛り付けたくない。
あなたへ、ベリーヒルズのレジデンスのマンションを譲る。
偽りの関係の報酬だと思ってくれればいい。
管理費等の維持費は既に10年分前払いしてあるから、そのまま住んでもいいし売ってもいい。売れば5億くらいにはなる。新しい生活の足しにはなるだろう』

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