フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約

『だが……願わくば』

その先に、レイの一番の望みが記されていた。


『私の歩む道の先に、あなたがいて欲しい。
お互いに手をつなぎ、ともに人生を歩きたい。あの、神保での穏やかな時間のように。
あなたが、私に色々な“初めて”を教えてくれた。人生を楽しむこと……そして、光があることを。そして、また教えて欲しい……一生をかけて、あなたから学びたい』


まるで、ミルコ女王に様々なことを教え生きる喜びを与えたアキトのようにーー。

『すべてが偽りから始まってしまったから、私は一度離れるが……もしも、あなたがまだ待ってくれるなら』

そして、レイはこう記してくれた。

『もう一度、やり直したい。今度こそ、あなたに本当の気持ちを伝えたい。
生きて……あなたがあの指輪を身につける姿を見る。それが実現することを願う
レイ・フォン・ファザーン』

手紙はここまでしか書かれていなかったけど……
私には、レイからの思いが十分に伝わった気がした。

「うん、わかったよ……レイ。私……待つ。何年でも待つよ……」

彼からの手紙を胸で抱きしめて、涙を流す。

今までで一番、幸せな涙だった。



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