フラれ女子と秘密の王子さまの恋愛契約
第五章~知ること、勇気を出すこと
あれ以来、何となくレイとは気まずくなってしまってた。
朝もご飯は食べてくれたけど、黙ったまま。お母さんが食卓で一生懸命盛り上げようとしたけど、それも虚しい努力で。
(どうしよう……嫌いなんかじゃないのに。好きって言っても信じてもらえないなんて)
どうしよう……どうしたらいいの?
今日はお父さんのリクエストで、神保町に行くことになってる。だけど、なぜか小椋さんまでが乱入……もとい。参加してきた。
「こんちは~! 一応、社長秘書の小椋と言います。よろしくです!」
相変わらず語尾を上げるクセがあるし、キンキン声が耳に痛い。
だけど、彼の存在は今の私にはとってもありがたかった。
「あれ、社長。ご機嫌ななめですか?お腹でも痛いでしょうか?」
絶対零度のブリザードが吹いていようが、さすが幼なじみ。ズバズバとレイの内面にも踏み込んでいく。
「違う。だが、しばらくひとりにしてくれ」
「あ、は~い!わかりました。ですが、護衛はきちんとつけさせてもらいますから。くれぐれも撒かないようお願いしますよ!」
「わかった。そうキンキン声で怒鳴らなくても聞こえてる」
レイも小椋さんには敵わないみたいで、渋々了承してたけど。
やっぱり外出には護衛をつけるような、そんな高い身分のひとなんだ……と今さらながら実感した。